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米国湿地保護回復政策見聞録 その3・フロリダ州の情報公開

 フロリダでは、全米一と言われるくらい情報公開が進んでいます。環境関係で言えば、フロリダ州が環境保全や湿地回復のため買い上げることを決定する手続は徹底的に公開されています。まず、生物の多様性に関するデータは、GIS(コンピュータ上の地図の画像によって、同地域に生息することが確認されている生物を確認できるシステム)上で公開されています。例えば、地図上の一カ所をクリックすれば、過去十年間に確認されているさまざまな希少生物(フロリダパンサーや白頭鷲等)の数を確認したり、生物の種ごとにペイントして表示したりすることも可能となっています。
 このようなシステムで市民は開発しようとしている地域にどのような希少生物のハビタットがあるかを知ることが可能となります。このようなシステムは日本でも最近では取られてきていることを、リバーサイド開発をしている同行の視察団の方からお聞きしましたが、今後日本でもこのような方法が広くとられることを期待したいものです。
 フロリダ州では土地を開発する際には許可を要し、重要なハビタットに関しては開発が許可されないと言うことがあり、これを巡って裁判所に最終判断を仰ぐことにもなりうるのですが、開発業者の側のこのような情報にアクセスすることにより事前に開発しようとする土地にハビタットがないかどうかを確認することができるという訳です。このようなシステムには、数年前にドイツに行った際に見ることができたビオトープマップと同じだと思いました。当時は紙ベースで見ることができたのですが、これがデジタル化しているというのが大きな違いでした。日本の場合、開発が始まってから、ハビタットが壊されるのではないかということで建設反対運動が起きることが多いと思います。都市でも小さなハビタットはたくさんあるはずです。その貴重なハビタットを守るためにはこのようなマップが各都市に完備されているといいのですが・・・。

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 ところで、環境問題に限らず、州政府は情報公開が求められた場合、これに応じることが義務づけられているようですが、最近では、州政府は公開すべき情報は殆どウェップサイトで公開しており、公開の手間を要らないようにしているようです。日本では、ウェブサイトでの情報公開にかかるコピー代や行政側の手間などが問題となっていますが、このような方法によって、より簡便に市民に情報が公開されうるのです。市民が意見を述べるためには市民が情報にアクセスすることができることが不可欠というわけで、全米ではこのようなウェブサイトを利用した情報公開方法が主流になってきているようです。
 なお、あまりに詳細なデータの公開は密漁や盗掘などの被害を生むことになる危険性があることから、研究機関などを除き、一般の市民には全情報の10%の割合のものしか公開をせず、このようは情報公開が悪用されることを防いでいるとのことでした。

 ところで、土地の買い上げについては4人の市民と9つの機関でどこを買い上げるかを決定するのですが、湿地の回復に関しては、現在ある湿地のみならず、氾濫源や集水域(ウォーターシェッド)ごと保護するという観点から買い上げるべき土地を決定しているようでした。
 さて、買い上げるべき土地の決定の手続ですが、この手続は広く市民に公開され、だれもが公聴でき、意見を述べることができるシステムになっています。おまけに、会議の模様は会場のインターネット中継システムによって、全州の市民がこれを見ることが可能となっています。さらに驚くべきことは、会議の事前根回しが禁じられていることです。会議の討論が公開の場で行われてこそ意味があるのであり、そこに来る前に事前に委員間の間で根回しが行われたのでは、会議を公開する意味はほとんど無くなるということから会議の前に委員間で電話などをして議題について議論することは禁止されているそうです。日本の場合どうしても情報公開といっても、形式的に公開していますよと言うことで言い方は悪いかも知れませんが、お茶を濁して終わりということが多いのに、フロリダではそのお茶を濁らすことなく、より透明な状態にしようとしていることは本当に驚きでした。
 このようにして買い上げが決定した土地ですが、無論地権者の同意を必要としますが、最後は地権者との交渉によってこれを買い取るという方法がとられるようで、収用など強制的な方法はとられないようです。フロリダ州ではこのような方法により、過去10年間で30億ドルを費やして150万エーカーという広さの土地を環境保護や湿地回復のために買い上げてきているようです。

以上で私の報告は終了します。

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