医療訴訟の認容率が低下しているといわれていますが、 当職事務所の相談件数はむしろ増えています。
2011/10/05(Wed)| [ 医療事故 ]
医療訴訟の認容率低下時代に入っています。アメリカでは、一般事件の勝訴率が50%程度、さすが訴訟社会です。五分五分以上と見れば訴訟に踏み切っているわけです。これに対して、日本は一般事件の一部認容も含む認容率は9割近くですから、一か八かでは、訴訟は提起しません。これは有罪じゃないと起訴しない刑事裁判にも共通しているところがあります。すなわち、十中八九勝てると踏まないと日本人は訴訟をしないということです。
しかし、日本の医療訴訟の認容率は20%程度にすぎません。また、年間全国の裁判所に提起される医療訴訟の新受件数は1,000件程度に過ぎません。この数字は、無過失補償制度のある韓国と同じくらいだそうですが、人口比を考えると、日本は本当に医療訴訟が少ない国だということがわかります。
しかし、このような状況であっても、当職事務所の医療訴訟の相談は絶えませんし、訴訟を決意する人もたくさんいらっしゃいます。そのような皆さんの動機として最も大きいのは、第1に真実を知りたいという思いです。これは日本の医療が医師中心主義で患者に情報が十分開示されていない状況を示唆しています。第2に同じような悲劇を繰り返したくないという思いです。これは私たち日本人に独特の民族性から来るのかも知れません。そういう思いが、日本にだけ顕著な医師を刑事処罰して欲しいという思いにつながっているのかもしれません。
このような思いにお答えするために、私の事務所では、まず、医療機関から情報開示を受けて、自己を分析して、責任を問えるものかどうかを検討するところから始めています。本来は、医療機関がなすべきことを患者側弁護士がしているということです。その後、その分析を下にして、訴訟に耐えられるかどうかを検討します。事前に、医療機関に説明を求めたり、釈明を求めることをしていますが、裁判にならないと真摯に検討をしていただけない医療機関もあり、また、回答があっても極めて抽象的な場合が多いために当てにならない状況です。したがって、患者側の検討が本当に大事で、私の場合、協力してくれる善意の医師の方にアドバイスをもらってから決断をしています。
このように訴訟に耐えられると分かった場合にのみ訴訟提起していますが、どうしても時間がかかってしまうことになります。しかし、訴訟を途中で投げ出すようなことにはしたくないのです。残念ながら医療事故の被害者の方には、兎に角、性急に回答を迫る方もいらっしゃいます。医療訴訟の検討はそんなに簡単ではないのです。越すべきハードルが高い分準備にも時間はかかります。
認容率が低い時代だからこそ、患者側が賠償を受けて当然と思われる事件を一つでも救いたいという思いで取り組んでいるつもりです。






