相手が損害保険に入っていたら(賠償額の検討をします)
2010/10/27(Wed)| [ 交通事故 ]
交通事故は、誰もが、加害者と被害者の両方になる可能性があります。もしもの時に備えて、交通事故の損害賠償請求について、知っておくと役に立ついくつかの事柄について、説明します。
●相手が損害保険に入っていたら
交通事故の被害者になってしまった場合には、 相手方が損保契約をしている場合が多いので、損保会社との間でやりとりが行われる場合がほとんどです。通常は、症状固定に至るまでの、治療費、交通費、休業補償などは加害者側が加入している保険会社の負担となります。
●ケガの治療で、健康保険を使うかどうか
被害者側が、治療に対して健康保険を使うかどうかで紛争となることがあります。
もし、被害者側にも落ち度があり、過失相殺されて損害の一部が減額されることが予想される場合には、治療費についても過失割合分は負担しなければなりません。そのため、治療費の負担を少なくするために、健康保険を利用した方が良い場合が多いのです。
交通事故は自由診療(保険適用外)で実施されるため、窓口での負担が高額になりますが、健康保険を使うと一般のケガや病気と同じ割合の窓口負担ですむのです。
●補償される期間は?
交通費や休業損害補償は、症状固定まで続きます。
症状固定とは、治療を施しても改善しない段階を意味します。症状固定になると、補償は打ち切りになるのですが、症状固定に達しているかどうかで紛争になることも多いのです。
●後遺症について
症状固定に達しても症状が残っている場合には、法律上、後遺障害が残っていたと言えるかどうかが大きな問題です。
後遺症の内容を最終的に判断するのは裁判所ですが、その前に、自賠責調査事務所で等級の事前認定を受けます。認定が出れば、賠償額算定の基準ができて、示談になる可能性も高まります。裁判所も自賠責の事前認定を重要視しています。
●加害者請求と被害者請求
後遺障害には1級から14級までの等級があり、自賠責保険調査事務所が算定します。後遺障害の等級認定は、相手方保険会社を通じて、申請をすることが大半で、これを加害者請求と呼びます。加害者側で、医療証拠などを揃えて申請をすることになります。
ただし、被害者側が申請してもかまいません(被害者請求)。その場合、カルテなどの取付を被害者自ら行わねばならないので手続的には面倒が伴います。
●後遺障害の認定基準とは?
どのような場合に後遺障害が認定されるのかは、自賠責の基準で定められています。それに該当しなければ後遺障害とは認定されません。
●後遺症が残った場合の慰謝料
後遺障害が認定されると、これらに後遺障害慰謝料と逸失利益が加わります。後遺障害慰謝料は後遺症の等級が高いほど高額となります。また、逸失利益は年収を基礎に67才までの生涯賃金のうち、労働能力を喪失した割合分を算出します。
(後遺障害がない場合、賠償の項目は、治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料などです。入通院慰謝料とは、治療のために入通院したことによってこうむった精神的苦痛に対する慰謝料で、入通院期間が長いほど高額になります)
★ここがポイント
当職事務所では、保険会社からの提示額を一項目ずつ分析的に検討し、各項目が適切に算定されているかを見ていきます。提示額が低額に過ぎないかどうかをチェックする基準は、裁判所で採用されている基準に照らしてどうかということです。
実はこの検討作業で弁護士の実力が問われると言っても過言ではありません。
●過失相殺
過失相殺では、保険会社の主張する過失相殺が適切かどうか見直しをしています。過失相殺は賠償額が大きくなればなるほど、少しのパーセンテージでも賠償額に大きな差が付きますから、軽視してはいけないのです。
●過失割合
落ち度の程度を過失割合といいます。被害者の場合、その分だけ損害の総額から割り引かれ、そこから既払い金を差し引いた金額が支払額となります。交通事
故はこれまでの判例を踏まえて、裁判官が中心となって過失割合を検討し、その結果を解説した本が刊行されていて、その本が一応の基準となります。過失割合
の程度は、被害賠償にとってはとても重要な数値です。
●物損と人損
物損の場合は金額が小さいので、安易に過失割合について同意してしまうことがあるので、注意が必要です。
たとえば、50万円の物的損害の場合、1割違えば5万程度の差ですが、人的損害で5000万円になれば、500万円の差になります。
物的損害の示談と人的損害の示談は一応別物ですが、過失割合にいったんは納得していたという事実は残ります。示談にするときは、一度、弁護士の判断を仰いで、十分検討してからにしましょう。