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高橋智のコラム集 エッセイ~高橋智自叙伝~

1980年代給湯族 ~北大にはかつて「給湯族」と呼ばれた若者たちがいた~

司法試験合格をめざして、ひたすら勉強をした日々

 私が北海道大学法学部で司法試験の勉強をしていた1980年代。同学部には「給湯族」と呼ばれる人々がいた。「給湯族」とは、朝9暗から夜10時まで自習室でひたすら勉強をし、昼休みやタご飯時期に給湯室でコーヒーを飲みながら、法律問題について議論するのを日課とする学生たちであった。現役学年は少なく、ほとんどが卒業生で、他大学の卒業生も含まれていた。

 当時の北海道大学の司法試験合格者は、毎年3名から6名程度だったが、そのほとんどが「給湯族」出身者だった。「給湯族」は仲間から合格者が出ると、ゼミをしてもらったり、仲間同士でゼミを組んだりして受験のノウハウを受け継いでいった。

北海道大学の懐の深い大学だった

 「給湯族」に特に人気のあった大学の先生は、民事訴訟法の小山昇先生である。小山昇先年は民訴法の大家でありながら、現役生、卒業生の分けへだてなく答案を添削してくださった。また、憲法の中村陸男先生(現北海道大学学長)や大塚龍児先生など、本当に親身になって受験生の面倒をみてくださった先生も人気があった。北海道大学法学部は、学年の身分を持たない「給湯族」も受け人れる懐の深さがあり、そのことが北海道大学の良さだと思っていた。「給湯族」はみな感謝して勉強し、合格したら、後輩を一生懸命指導して恩返しをしていった。

「給湯族」と「給湯室」の消滅

 ところが、私が合格した後、「給湯族」は消滅した。現役の学年らから、何の資格もない「給温族」が自習室や給湯室にたむろしているのは目障りであるという訴えがあったのだ。正諭を言われたら「給湯族」は弱い。給湯室は演習室とされ、「給湯室」という場所もなくなった。「給湯族」消滅後、北大の合格者が激減したのは当然の結果であった。氷河期の到来である。北大の司法試験受験生は、受験予備校に通い始めるようになった。

「給湯族」の心は生きている

 司法試験受験生の合格者の累計が1,000名になり、法科大学院(ロースクール)の設立が決まってから、北海道大学の合格者は20名を超えるようになった。
これは北海道大学の先生方が司法試験受験生を応援し始めたからである。そしてその中心になってくださっているのは、大学院生だった当時、給湯室にちょくちょく顔を出してくれていた先生たちだそうである。

 今、弁護士になって役立っているのは、司法試験予備校のテキストで習ったことではない。「給湯室」で、お互いに興味に任せて法律論を戦わせていた時の思考方法であり、議論方法である。一見、無駄な議論のようだが、今になって振り返ると本当に役立っている。どんな問題にも解決策はあるし、どんな不利な状況でも理屈を考えることができると信じているのは、その時の経験からである。また、「給湯族」の間で培われた人間関係は一生ものであり、生涯の私の財産でもある。

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