実績紹介

TOP > 実績紹介 > 医療訴訟(訴訟上の和解)正中頚嚢胞摘出術の結果、異所性甲状腺が摘出され、患児に甲状腺機能低下症が発症してしまった事例

2015/01/17(Sat)[ 医療訴訟 ]

医療訴訟(訴訟上の和解)正中頚嚢胞摘出術の結果、異所性甲状腺が摘出され、患児に甲状腺機能低下症が発症してしまった事例

■(事案の概要) 
患児の咽頭の肉腫を正中継嚢胞であると判断して摘出したが、術後に、病理検査及び甲状腺シンチグラム検査をしたところ、摘出したのは実は異所性の甲状腺であったことが判明、その後、正常だった患児の甲状腺機能は低下した。

■(事件名等)
 札幌地裁平成22年(ヮ)第1483号 損害賠償請求事件 
 和解期日 平成26年3月26日
 原告訴訟代理人 高橋智等

■(患者)   手術当時5才の女児

■(医療機関) 公的病院

■(主な経緯) 
 患児は、平成21年1月下旬頃、喉の辺りにできものを見つけたため、母とともに、小児科医を受診したところ、正中頸嚢胞の疑いの診断を受けた。同年2月上旬、同小児科医の紹介で相手方病院を受診した。触診及びエコー検査の結果、正中頸嚢胞の疑いがあると診断され、造影剤検査等の検査を受けることなく、平成21年2月10日、患児は相手方病院にて腫瘤摘出術を受けた。ところが、術後、摘出された腫瘍には甲状腺の細胞が含まれており、今後甲状腺機能が低下していく可能性があることが判明した。その後、現実に患児の甲状腺機能は低下し原発性甲状腺機能低下症と診断されたため、チラージンの服用が開始された。

■(主な争点)正中頸嚢胞と異所性甲状腺の峻別方法はエコー検査で十分といえるかというのが主な争点の一つであった。
 正中頸嚢胞と異所性甲状腺の峻別は重要である。なぜならば、正中頚嚢胞であれば切除しても特段健康状態に影響は生じないが、異所性甲状腺だった場合は,甲状腺機能が失われるあるいは低下する結果をもたらす可能性が高いためである。峻別方法について、相手方は、基本書を引用しつつ、甲状腺エコー検査で、正常な位置に甲状腺組織があれば、峻別可能であるとする立場をとっていた。一方、当方は、それだけでは不十分でエコー検査だけではなく甲状腺シンチグラムを必須とする文献もあるし、摘出時には外観から異所性甲状腺であると疑えるから、摘出前に術中迅速病理検査を行うこともできたはずであるとして、エコー以外の検査を実施して慎重に峻別すべきであった、あるいは、少なくとも、そのような方法があることを両親に説明すべきであったと主張した。

■(解決)
 相手方側と和解が成立した。解決金は、1800万円であった。
 なお、相手方側は、医療ミスはなかったが、患児の負担を真摯に受け止め和解を選択したとのコメントが、本件事件を報道した新聞に掲載されている。

■(若干のコメント)
 正中頚嚢胞と異所性甲状腺の峻別については、どのような方法を用いて行うべきかについて、医師の見解に相違がみられるが、もっとも大切なのは、患者側に十分な情報が提供され、事前にどのような検査方法をとるかということについて、医師と患者が真摯に協議することである。
 甲状腺シンチグラムには放射線被曝のリスクもあるが、エコーには読影を誤るというリスクもある。摘出前には、術中迅速病理検査という方法もある。医療を受ける患児の立場に立って、甲状腺機能を低下という結果を招かないように、医療機関には慎重にも慎重を期して欲しいと思う。

ページ上部へ戻る

無料相談 無料法律相談 お電話でのご相談 TEL:011-261-3170 法律の事でお悩みの方や、もしかして…と思ったら、まずはお気軽にご相談下さい。 WEBからのご相談はこちら 無料法律相談フォーム

【札幌の弁護士 高橋智法律事務所 取扱事件】

  • 医療事故・医療過誤(患者側)
  • 交通事故(人身・物損・加害者側・被害者側両方)
  • 離婚・相続問題
  • 欠陥住宅・建築瑕疵問題

一般民事事件全般

  • 任意整理
  • 過払い問題
  • 過払金請求
  • 遺産分割
  • 成年後見人申立
  • 失踪宣告
  • 各種事故に伴う慰謝料等損害賠償
  • 養育費請求
  • 夫婦関係調整
  • 不動産関係トラブル
  • 仮差押事件
  • 著作権・特許などの知的財産関係
  • 私選の刑事事件