2007/10/18 (Thu)
刑事事件の被告人になることがありうると思っていますか。2007:10:18:14:08:04
最近刑事弁護人に対するバッシングが騒がれていますが、何故刑事事件の被告人の弁護をするのかという疑問は市民感覚として根強くあるのではないでしょうか。クライアントの皆様と最近の刑事弁護を巡るお話しをすることがしばしばありますが、同じような疑問を感じている方々は多いと思います。日本の被疑者、被告人、受刑者の人権は先進諸国の中では非常に制限されているのですが、大きな声にならないようです。それはどうしてしょうか。いろいろな理由はあるでしょうが、私は、「自分は絶対刑事事件の被告人の側に回らない」と思っている方々が多いからだろうと思います。自分が刑事事件の被告人の立場になるかもしれないという前提に立つのと、そのような立場に立つことはないという前提に立つのでは見えてくる世界が全く違うと思います。多分、欧米はいつでも自分が逮捕されてもおかしくないという歴史的経験があったのではないかと思います。日本にはそれがないと思うのです。
しかし、実際はどうでしょうか。多くの刑事事件を担当していますが、刑事訴追される方々は、前科前歴が多数ある常習犯ばかりではなりません。交通事故、特別背任、詐欺等で逮捕、勾留される人々には、ホワイトカラーの方々も多いのです。それまで自分が捕まるとは少しも思っていなかった方々ばかりです。その方々が口を揃えて言うのは、本当に刑事事件の被告人の立場というのは厳しいということです。特に、否認してると、保釈が殆ど通らないことを嘆かれます。いわゆる人質司法と言われる所以です。留置場、拘置所の環境も厳しいのです。家族と会えない状況で唯一の救いは弁護人との接見です。弁護人が世論の動向を従って弁護したら、被告人は全く孤立してしまうでしょう。逮捕されて始めて、刑事弁護人のありがたさを身に沁みて知るということのようです。日本は、一人の冤罪を出さないと言うことよりも、一人の犯人も取り逃がさないことを重視していると思います。
現在、会社役員や医師の刑事弁護人をしていますが、このようなことを痛感しています。

