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2008/04/16 (Wed)

死刑執行と死刑判決


 朝日新聞によると、・・・・「国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、07年に世界24カ国で少なくとも1252人の死刑が執行されたと発表した。北京五輪を前にチベット問題で批判を受ける中国が470人で最も多かったが、・・・・中国は死刑に関する情報を開示していないため、実際ははるかに多いとされる。日本は、死刑執行が9人で11番目、死刑判決が23人で13番目に多かった。今月10日、鳩山法相が4人の死刑を執行し、08年に入って10人とすでに昨年を上回った。・・・とのことであった。

 死刑囚は現在100名を超えており、近年死刑判決は増え続けているといことをテレビ報道で聞いたことがある。
 しかし、裁判の報道の際は死刑を求めるような論調のマスコミが、いざ死刑執行の数を報道するときには死刑執行数が多いのは問題だというスタンスで報道するのは理解に苦しむ。死刑判決がたくさん出ている以上、死刑執行数もどうしても増えてしまうだろう。死刑判決には反対だが、死刑執行にも反対というのでは矛盾だ。

 裁判官は特別な人間ではない。社会の一員だ。だから処罰にも社会感情や風潮が反映されることになる。日本は、社会が犯罪者に対して死を持って償うことを求めているのであろう。死刑は、社会から犯罪者を抹消するということだが、死刑判決を増やし、死刑執行を断行し続けても、一向に犯罪は減らない。むしろ、凶悪化の一途を辿っている。

 日本の刑事事件は、被害者の参加によって、ますます報復的要素が強くなり、矯正的要素が少なくなってきた。いかにして、再犯率を下げるかは刑事政策(刑務所が教育プログラムを持つこと、犯罪の予防政策等)や、家庭問題の対処にかかってきている。どうすればよいか、死刑に頼らず、犯罪の防止に市民が参加して検討をする時期に来ているのではないだろうか。
 厳罰化しても、犯罪は減らないと言うことを刑事裁判官の最前線にいる弁護士ほど痛感している。

 日弁連の死刑に対する考え方は以下の通りだ。今年4月に発表されている見解だ。日弁連サイトでもみることができるが、引用して、ご紹介しておきたい。
                        記
 我が国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し、死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが、このような誤判を生じるに至った制度上、運用上の問題点について、抜本的な改善が図られておらず、誤った死刑の危険性は依然存在する。また、死刑と無期刑の量刑につき、裁判所によって判断の分かれる事例が相次いで出され、死刑についての明確な基準が存在しないことも明らかとなっている。
 また、我が国の死刑確定者は、国際人権(自由権)規約、国連決議に違反した状態に置かれ、特に過酷な面会・通信の制限は、死刑確定者の再審請求、恩赦出願をはじめとする権利行使の大きな妨げとなってきた。昨年、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が施行されるに至り、同法による実務の改善が期待されていたものの、いまだに死刑確定者と再審弁護人との面会に立会いが付されるなど、その権利行使が十全に保障されてきたとは言いがたく、このような状況で直ちに死刑が執行されることには問題がある。
 他方、死刑については、死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択され(1991年発効)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。このような状況の下で、死刑廃止国は着実に増加し、1990年当時の死刑存置国96か国、死刑廃止国80か国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)に対し、2008年2月20日現在、死刑存置国62か国、死刑廃止国135か国と、死刑廃止が国際的な潮流となっていることは明らかである。
 また、昨年5月18日に示された国連の拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においては、我が国の死刑制度の問題が端的に示された上で、死刑の執行を速やかに停止するべきことなどが勧告された。
 さらに、昨年12月18日には、国連総会本会議において、すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。また、上記決議の採択に先立ち、昨年12月7日の我が国における死刑執行に対しては、国連人権高等弁務官から強い遺憾の意が表明されるという異例の事態が生じた。
 今、我が国に求められているのは、上記勧告や決議案にどう応えるかも含めて、開かれた継続的な議論を行うことであり、死刑の執行を急ぐことではない。今回の死刑執行は、我が国が批准した条約を尊重せず、国際社会の要請には一切耳を傾けないことを改めて宣言する行為に等しい。
 当連合会は、2002年11月に発表した「死刑制度問題に関する提言」及び2004年10月に採択された「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」において、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱してきた。また、上記提言及び決議を踏まえ、本年3月13日の理事会において、「死刑制度調査会の設置及び死刑執行の停止に関する法律(案)」(通称「日弁連死刑執行停止法案」)を承認し、引き続き死刑問題に関する取組を続けている。
 当連合会は、改めて政府に対し、被執行者の氏名だけではなく、死刑制度全般に関する情報を更に広く公開することを要請するとともに、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。

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