2008/10/30 (Thu)
被疑者と検事>被疑者と弁護士2008:10:30:08:06:09
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報道によると、・・・・横浜地裁で、取り調べ中の副検事が容疑者に向かって弁護人の弁護方針を批判したのは弁護権の侵害だとして、弁護人が国と副検事を相手に慰謝料150万円の支払いを求めた訴訟で、取り調べ中のやりとりをほぼ訴え通りに認定したうえで「(容疑者が)弁護活動への不安にさらされ、弁護士との信頼関係が揺らいだことは想像できる」と指摘。「副検事の批判は捜査する上での必要性、合理性が認められない。弁護士の接見交通権の侵害で違法」として国に10万円を支払うよう命じた判決が下された。
被疑者が、弁護士らに「話していない内容が含まれた供述調書に署名した」と説明。この時、そういう調書に署名しないよう助言されたのを受けて被疑者はその後、自分の考えと違う調書への署名を拒否したが、これに対し、副検事は「弁護過誤だ」「弁護士を信じても最後には弁護士は責任を取ってくれない」等と発言した。
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密室のやりとりが判決で認定された決め手は元課長が取り調べ状況を日記のように記録していた「被疑者ノート」だったらしいが、取り調べの模様がビデオで録画されていない現状では、取り調べの模様は記録されないから、被疑者のノートが頼りということになる。長時間の取り調べを終えて、留置場に戻ってから、当日の調べを思い出しながら、ノートを付けるという作業は大変な労苦を要するものだ。
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ところで、否認事件の被疑者の取り調べでは、捜査官は如何に自分の方が被疑者のことを親身に考えているか思わせることが肝心だと元検事の弁護士の方から聞いたことがある。私も刑事の否認事件で苦い体験をしている。毎日のように接見に行って否認している被疑者と話し合い自白調書は取られないようにケアしていたし、被疑者も自白していませんと話していたが、取り調べも終わり、裁判が近づいて、証拠請求されて開示された被疑者調書を読むと、何と被疑者は犯意を認める供述をしていた。私は愕然とした。
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私は慌てて被疑者にどうしてこのような調書に署名・捺印したのかを尋ねた。そうすると、被疑者は、「調べを受けている時は、申し訳ないが、起訴するかどうか決める検事さんの方が私のことを親身になって考えてくれたと感じていたので、検事さんの言うとおりに従ってしまった。本当に申し訳ない、バカなことをした。今なら、弁護士さんが一番私のことを思ってくれていることが分かるのだが、あのときは正直検事さんを心から信頼していた。」と話してくれた。私の負けである。そして、被疑者の負けである。訴訟では、被疑者は犯意を否認し続けたが、判決では、自白調書通り犯意が認定され、極めて重い刑を受けた。被疑者は、自白調書がこれほど重い意味を持つのかを文字通り身をもって体験してしまった。
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検事の立場に立ってみると、被疑者を無罪にしようとやっきになって活動している弁護士以上に、被疑者を有罪にするために取り調べをしている検事が、弁護士以上に被疑者のことを考えていると思わせるような取り調べができたら最高だろう。取り調べをしている間だけに成り立つ検事と被疑者の信頼関係である。検事が被疑者を起訴するかどうかの生殺与奪の権を握っていることがこの信頼関係を成り立たせる。権力的人間関係では、従属的立場のものはどうしても権力者に迎合的になってしまうもののようだ。
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但し、この判決が示すように、検事が弁護士の批判をして被疑者との信頼関係を得ようとするのはルール違反だということだ。

