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2009/04/22 (Wed)

被告人の方からの一通のお手紙

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 先週終わった国選事件の被告人の方からお手紙をいただきました。そのお手紙には、「・・・結審の際、弁論要旨を渡され、それを朗読されている時、感動で手が震えておりました。こんな私を弁護していただけて感無量でした・・・」という趣旨の内容がかかれていました。

 この事案は、窃盗事件で被告人も罪を認め、一回結審で終わるべき事案でした。ところが、被告人の調書を信用できないとして、検察官は、一切被告人の供述調書を証拠申請せず、被告人の主張と違う時間と場所をあえて特定して起訴しました。しかし、被告人は、窃盗をした状況が違うとして、時間と場所が違うと一部否認しました。このため、証拠調べが実施されることになりました。

 そして、犯行時間とされる時間に被害品を見たという証言が検察官側の証人から出てきたのです。さらに、同証人の証言から犯行場所も検察官の主張する場所では困難であることも明らかになりました。

 このため、検察官は訴因変更を余儀なくされ、さらに、予備的訴因の追加まで余儀なくされました。判決は、結局、被告人の言い分通りの内容で犯罪事実が認定されました。懲役2年求刑に対して、1年半の実刑で、未決勾留日数中90日が参入されました。未決勾留日数の数は一般事件に比して非常に多く、訴訟の経過を十分に配慮した内容になっていました。
 裁判を終えてみて、つくづく犯罪を認めている被告人の言葉を否定して、犯行場所と犯行時間をあえてずらして起訴する必要がどこにあったのだろかと思ってしまいました。犯行自体を認めているのに、あえて、時間と場所が違うというメリットは被告人にはなかったはずです。

 本当に小さな窃盗事件かもしれません。しかし、これがえん罪事件だったらと恐ろしくなります。被告人の言い分を頭から信用しない、聞く耳を持たないという姿勢は非常に恐ろしいと思います。先の詐欺無罪事件でも、被告人の言い分にもっと耳を傾けてくれたらと思います。

 疑わしきは被告人の利益にという原則は、日本では名ばかりになっています。実務の世界では、疑わしきは処罰するという原則で貫かれているように思います。無辜のえん罪被害者を出すリスクを冒しても、必ず犯人を見つけ出して処罰するという空気が刑事裁判に立ち込めていると思います。

 是非、裁判員制度の導入でこの空気を一掃してほしいと思います。

 

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