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2009/04/25 (Sat)

SMAP草彅剛さん逮捕をめぐる法的問題

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 草彅剛さんが、深夜全裸で公園で騒いだ件で、公然わいせつ罪で逮捕され、家宅捜索を受けましたが、この問題については、弁護士の目からみて、様々な問題が含まれていると思いますので、今日はこのことについて書いてみます。

 実は、まず、刑事責任を問えたのかとい根本的な問題があります。刑事責任を問うためには、行為者に責任批判を認めるための基礎としての、行為者が刑法の規範を理解し、それに適合した行為をなしうる能力、すなわち、責任能力が必要です。そして、この責任能力が欠如する状態が責任無能力といわれているのです。その一類型が、行為の是非を弁別する能力またはその弁別に従って行動する能力のない状態を心身喪失といい、酩酊もその一つとされています。したがって、本件の場合、飲酒量からみて、酩酊による心神喪失状態にあったと言えます。
 したがって、公然わいせつ罪については、刑事責任を問われることはなかったのではないかと思います。

 「責任において自由な行為」という概念があります。自分が酔うと直ぐ脱ぐことを知りつつ、飲酒をしたような場合、まだ正常な判断能力がある時の、酒を飲んだ行為に責任を問えないかという議論です。しかし、この場合、公然わいせつに過失犯はありませんし、飲んだら必ず脱ぐという習癖もなかったようですから、この観点でも刑事責任を問うことは難しいでしょう。

 そうすると、草彅さんの責任というのは、もっぱら、裸になって公園で騒ぐ程度に、飲酒してしまった。自己をノントロール出来ない状態にしたという社会道徳上の責任だと思います。

 そうだとすると、「最低の人間」「絶対に許せない」という大臣の発言は非常に問題だったと思います。どの行為が最低なのか、絶対に許せないのか極めて抽象的な感情論です。
 それととても気になるのが、「絶対に許せない」という言葉です。人を殺傷した分けでもありません。人の財産を盗んだわけでもありません。総務省に迷惑をかけたということ以外には法益を侵していないのです。それを最低の人間、絶対に許せないという程度まで、激高するのはどうでしょうか。最近の日本の風潮は、「許しがない社会」になっているということではないでしょうか。人間はそれほど強くありません。弱い弱い存在です。誘惑にも負けます。酒に飲まれてしまったことをこれほどまでに批判することはできないのではないでしょうか。大臣の発言はこの許しのない社会という傾向を強めてしまっていると思います。

 もし、これを問題にするのであれば、日本のアルコール販売が余りに自由であるということに言及し、アルコール販売の規制を考えるということころに話が行くべきではないでしょうか。そうすると、もっと深い議論になると思います。アルコール依存症で悩んでいる人、アルコールによって起きる犯罪も非常に多いと思います。そのことを議論すると大臣らしい発言になったと思います。

 なお、草彅さんの行為が民事的な問題になるということについては、致し方ないでしょう。今回はあくまで刑事責任の問題として論じています。

 そして、もう一つ、逮捕や家宅捜索の問題があります。これはまた明日。

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