2009/12/02 (Wed)
大野病院事故:「裁判での解明不十分」弁護団が報告書2009:12:02:10:40:00
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新聞報道によると・・・・産科医が逮捕され医療界に衝撃を与えた04年12月の福島県立大野病院の医療事故について、各種の医療事故で患者を支援している弁護士で構成する「医療問題弁護団」が、遺族の協力を得て取り組んだ独自の検証結果をまとめた。裁判では採用される証拠が限定的となり「再発防止策を講じるのに必要な論点が、刑事訴訟手続きでは十分に解明されていない」と総括した。弁護団は関係学会などに報告書を配布し、再発防止に向けた活用を求めている。・・・・大野病院の医療事故では、妊婦が出血多量で死亡した帝王切開手術を執刀した医師が業務上過失致死罪などに問われたが、1審で「標準的な医療を逸脱した過失はなかった」として無罪が言い渡され、判決が確定した。弁護団は遺族から訴訟記録の提供を受け、裁判で証拠採用された10倍以上の医学文献も参照して、診療経過や事故後の対応など5項目を検証した。その結果(1)争点となった、胎盤をクーパー(手術用はさみ)ではがした行為の医学的妥当性(2)手術前の準備や家族への説明、事故後の対応(3)地域医療や輸血供給体制など医療制度上の課題--といった問題が裁判では十分に解明されなかったと指摘。有罪か無罪かの判断を目的とする刑事裁判では、再発防止の教訓をくみとることに限界があると結論付けた。・・・・
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医療事故を刑事事件にして欲しいと望む遺族は多いようです。しかし、刑事事件手続が真実解明につながるかといえば否であると考えています。ましてや、医師を逮捕して自白を強要しても本当の真実は明らかにならないと思います。
訴追する方には当然医学知識があるだろうと思っている方も多いかも知れませんが、決してそのようなことはありません。捜査官も協力医頼みなのです。自白偏重の刑事裁判では、最初の捜査官が敷いたレールを走るしかないので、過失の特定を捜査段階でしてしまうと、その過失が認められるかどうかが中心的な議論になり、後から修正がききづらいのです。
一方、民事では、訴え提起当初はある程度抽象的ですが、主張や証拠の提出が進む中で、どんどん事実が明らかになっていき、やがて過失が絞られてきます。
したがって、刑事事件で医師の責任を問うというのはなかなか難しいのです。
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日本人は、刑事事件手続が真実解明の制度として、優れているという誤解をしている方が非常に多いと思いますし、その自覚がない法曹関係者も多いと思います。かつては、拷問こそ真実に近づく一番の方法だと信じられていました。今は、自白こそ真実に近づく一番の方法と思っている人も多いと思います。しかし、多くのえん罪事件が示しているように、現在の刑事事件手続が真実解明の絶対の方法ではありません。
常にえん罪かもしれないという危機感を抱く必要が刑事事件にかかわるものには必要だと思います。

