2010/01/25 (Mon)
日本辺境論・内田樹著・新潮新書(740円)*読書ノート・2010・№42010:01:25:07:18:49
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今話題の書だが、読んでみると、非常に面白い。大風呂敷を広げたような議論だが、我々日本人が辺境に住んでいるという場所的特殊性から、日本人の意識が絶えず外からの情報・文化を取捨選択して、価値あるものを利用しようとしているという点で一貫しているという指摘は鋭いと思います。・・・・日本の多少とも体系的な思想や教養は内容的に言うと古来から外来思想である、けれども、それが日本に入ってくると、一定の変容を受ける。それもかなり大幅な修正が行われる。完結的イデオロギーとして日本的なものを取り出そうとすると必ず失敗するけれども、外来思想の修正のパターンを見たらどうか。そうするとその変容のパターンには驚くほどある共通した特徴が見られる。私達は、たえず外を向いてきょろきょろして新しいものを外なる世界に求めながら、そういうきょろきょろしている自分自身は一向に変わらない。きょろきょろしている。・・・という丸山眞男の文書が鋭くとおりだと思います。
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日本は、ユーラシア大陸の地図を横を縦にしてみると、まさに辺境であり、最終地点です。だから、辺境人として中央から伝来した物を上手く利用することができたし、する必要があった。また、中央から遠かったため、換骨奪胎して、日本人なりに利用していったと思います。日本では、外来の学問や文化を消化吸収するシステムが発達しています。医学でも哲学でも訳語はすばらしく、殆どの名前がつけられていますが、中国語と違って、その内容を表す漢字が用いられています。だから、日本は、外国語を話す必要がないのです。外国語をすぐに訳して吸収してしまうからです。日本以外の国ではこのような文化がないので、どうしても英語を利用するしかないということになります。・・・日本人が英語が苦手な理由の一つですね。
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日本では、理屈は必要ありません。理屈は発達していません。全部、外来ですから。独創する能力はほとんどないのです。ですから、議論においては、理屈で言い負かすよりも、相手より自分が上位であることを示す態度が重視される。だから、政治家の議論や深夜のディベートでは、途中で口を挟んだり、相手をさげすむような態度をとって、自分が優位に立っていることを示すのです。
裁判制度は、西洋から直輸入されましたので、このような態度は何の意味もありません。しかし、準備書面の中身を見ると、相手を見下したような腹立たしい無価値な表現(法律論とは関係のない余事記載)が何と多いことか。依頼者の方で、相手の準備書面を見て腹を立てる方が多い理由はここにあります。これなどはまさに日本的といえるでしょうね。
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小泉内閣までは、日本は日本なりの文化・制度を構築していました。それがいわゆる40年体制ですが、小泉内閣は、アメリカの市場開放圧力により、全ての規制を緩和し、世界標準を入れてしまいました。これは実は、小泉さんが行った歴史上最も重要なことだと思っています。第二の開国と言っても良いのではないでしょうか。それが良いかどうかという吟味は十分出来ていないかと思います。
外来の制度に飛びついて、日本のそれまで上手く行っていた制度をあっさりと捨ててしまいましたが、それで本当に良かったのでしょうか。この問題は、市民の側に十分に意識されていないように思います。
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司法改革もその一つでしょう。
弁護士の大量増員、広告規制の緩和は、まさにアメリカ流でしょう。果たしてそれが正しかったのでしょうか。司法改革の光と影を再検討して、是正すべきものは是正をしなければ、行けないのではないでしょうか。司法国家をつくるのなら、津々浦々裁判によってきっちり白黒をつけることができなければならないのに、地方の裁判所はどんどん縮小され、裁判官も一向に増えません。司法予算も増えません。これで本当に良いのでしょうか。
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漫画とアニメの違い、水戸黄門、学び、宗教など議論はどんどん広がっていきます。
興味のある方は是非読んでみてください。
知的好奇心が刺激される良書だと思います。

