2010/03/06 (Sat)
「ブラックペアン1988」上下・海堂尊著・講談文庫(各419円)〜読書ノート2010/№6
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舞台は1988年の東城大学の医学部外科教室。神の手をもつ佐伯教授が君臨する教室に、食道ガン手術が簡単に行える術式をひっさげて、帝華高階講師が送り込まれてきたところから、物語は始まります。主人公は医師国家試験に受験後の医師一年目(一年坊と呼ばれるそうです)の世良の目を通して、物語は語られていきます。
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作者は、チーム・バチスタの栄光で、有名な海堂尊。千葉県出身。県立千葉高校、千葉大学医学部卒業(医学士号取得)、同大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士号取得)。外科医を経て、現在は、病理医です。外科医の経歴、経験を生かして、リアルに大学病院の内部が描写されていきますが、これは医師でなければ書くことができない小説でしょう。
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絶対的な佐伯教授が腹部内にペアンを残置したのではないかという疑惑を縦軸に物語は展開しますが、患者の命を時として犠牲にして、医師の論理で手術手技や担当医師が決定していく様が描かれています。私は、白鳥という強烈なキャラクターがでてくる、どこか漫画チックなチーム・バチスタよりも、ブラックペアンの方が断然リアルで面白いと思います。
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私が担当している医療事故事案では、時として、余りに簡単にリスキーな手術が同意されていくことに驚かされることがあります。自分の命を左右するかも知れない手術について、患者側はその場であっという間に結論を出し、同意をしてしまうケースがあるのですが、もし、本当に真摯な説明をしていたら、その場で簡単な決断するようなことはないはずだと思っています。亡くなってからでは遅いのです。死んでから悔やんでも悔やみきれません。生きている内に、悩んで悩んで、最悪の事態をも覚悟して、手術を受ける必要があるのです。
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大きな手術をする時には、十分考えてから決めましょう。結論は変わらなくても良いから、時間はかけるべきです。医療事故相談の多くは、説明が不十分だという感情が患者にある場合が多いのです。患者の側も、自分の病気のリスクを十分理解して、選択肢を考える必要があると思います。






