2010/04/08 (Thu)
「消えた警官」ドキュメント菅生事件・坂上遼著・講談社(1700円)〜読書ノート2010/№7
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昭和30年頃起きた菅生事件をご存じでしょうか。私を含め、知らない人はかなり多いのではないでしょうか。帯にはこう書かれています。国家権力犯罪に挑む「調査報道」の原点。「だれか市木を捜してくれ!」大分県で起こった駐在所爆破事件・菅生事件。国家権力が、ここまで謀略の限りを尽くすのか!若きジャーナリストたちの執念が、ついに「消えた警官」を追い詰める。驚くべき「権力の犯罪」と、それに挑んだ「調査報道」の原点を追ったサスペンス・ノンフィクション。・・・・
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皆さんは菅生事件をご存じでしょうか。関口宏のサンデーモーニングに出ている毎日新聞社の岸井さんが時々引き合いに出している事件ですが、実は私はその内容をよく知りませんでした。菅生事件は、大分の小さな集落の駐在所が爆破された事件ですが、当時共産党員の起こした事件だとして、複数名が現行犯で逮捕されました。一審は有罪でしたが、二審になって、当時囮捜査員として共産党員らに接近していた市木春秋(読み方によっては四季はる、あき、になる)がクローズアップされて行き、ついに、市木が発見され、二審で証言するということになります。
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ここで、一番大事なことは、マスコミと警察の関係です。実は、この事件は毎日新聞が爆発事件現場にいたのです。それは警察から情報をリークされてのことです。このため、毎日新聞は爆破事件の現行犯逮捕という奇跡的な瞬間に出くわすことになります。しかし、それは後日マスコミが警察に利用されたのだということがわかります(だから、毎日新聞の岸井さんがこの事件にこだわるのは理由があるのです)。もう一つ大事なことは、市木春秋を見つけたのが、共同通信社の記者達だったことです。事件を単に警察発表に頼っていないで、自ら調査して報道することの重要性を元NHKの記者だった著者は説こうとします。
多くのえん罪事件では、事件当初マスコミはいつでも警察発表をあたかも真実かのように報道しています。警察の発表にぶら下がっている取材では、いつでも良いように権力者に利用されてしまいうということでしょう。
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当時の裁判官の訴訟指揮のあり方、弁護人の尋問のあり方など、専門家が今振り返って見ても、参考にべき点が数多くあります。法律に詳しくなくても、読んでいて、いったいこの先どうなるのだろうという興味も手伝い、一気に読んでしまうと思います。また、市木春秋が見つからないまま、二審が結審となりそうになる下りは手に汗を握る場面です。
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警察がたくさん動員されているのに、爆発が起きなかったら大変だから、警察側は確実に爆破できる方法をとったはずだと考えた正木ひろし弁護士の着眼点の鋭さには感動します。そして自白偏重ではなく、科学的捜査こそが重要なのだと気がつかされます。
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特に、法曹を目指す諸君、マスコミ関係者の方々には読んで欲しい本です。






