Sammy'sダイアリー

TOP > Sammy'sダイアリー > 「こんな日弁連に誰がした?」小林正啓著・平凡社新書(760円)〜読書ノート2010/№8

2010/04/15 (Thu)

「こんな日弁連に誰がした?」小林正啓著・平凡社新書(760円)〜読書ノート2010/№8

PICT0049.JPG
 著者は、青森県生まれ東北大学法学部卒の弁護士の方です。本の帯には以下のような記載があります。・・・自滅に向かう、エリーたち。最高裁vs日弁連/人権派弁護士vsバブル弁護士、なぜ司法試験合格者3000人を推進?食えない新人弁護士の出現・・・・。弁護士増員に反対していた日弁連は、あるとき、手のひらを返したように賛成に転じ、大増員を推し進めた。その結果、弁護士は過剰となり、日弁連は組織として滅びの道を歩むこととなった。日弁連は、いったい何を間違えたのか?多くの弁護士ですらその過ちを知らない今、戦後に繰り広げられた骨肉の権力闘争史を明らかにすることは、閉塞状態にある日弁連と司法、そして日本の再生を考える上でも、意義があるはずだ・・・。弁護士の大増員を決めたのに、仕事は全く増えず、法科大学院を出ても、司法試験に受かるのは一部のみ。なぜ、こんなちぐはぐなことになってしまったのか?東西冷戦、バブル崩壊、司法改革・・・骨肉の戦いだった法曹の戦後史をひもとくことで、「日弁連の姿」をはじめて明らかにする。弁護士たちの追い求めた夢と挫折、そして、これからの弁護士の姿とは。
■ 
 タイトルは過激だし、帯の記載も扇動的ではあるのですが、歴史的書物として意義があると思いました。
 私が弁護士になってから始まった司法改革の嵐、そして、法科大学院、合格者の大増員という流れを、その中に居たときは、札幌の片田舎にいてよくわからなかったのですが、このように歴史的に振り返ってみると新たな発見も多く勉強になりました。
 当時の記憶からいうと、当時矢継ぎ早に繰り出されてくる司法改革の波について着いていくのがやっとの状態だったように思います。司法制度改革審議会が行われた1999年から2000年に、司法試験合格者大増員、それに必要な法科大学院構想が承認されたのですが、その会議の進行は間接的に聞こえてくるだけでいったい何が行われているのか恥ずかしながら当時はよく理解できていなかったと思います。
 弁護士である私でさえこうなのですから、弁護士ではない皆さんにとっては、対岸の火事にもならなかった出来事だったのかも知れません。

 著者は、弁護士会が悲願としていた法曹一元(裁判官を弁護士から選ぶ英米のような制度)を実現するためには、司法試験合格者大増員や法科大学院構想を受け入れることが必要と判断したのだが、結局、法曹一元は実現されず、後者2つだけが残ったという見方をしています。

 こんな日弁連とは、自らの首を絞めるような決定を下してしまった日弁連ということなのでしょうが、では当時どのように動けば良かったのか、最後まで徹底抗戦して、弁護士自治が奪われても良かったのか、そこは考え物だと思いました。また、最後までよくわからなかったのは、結局、司法試験合格者3000人ということを望んだのは誰だったのかということです。弁護士増員はわかりますが、このような数字を出して増員のプレッシャーをかけ、弁護士大増員に向かわせたのは誰だったのでしょうか。結局誰が指導したのでもなく、雰囲気がそうさせたのではないでしょうか。

 あるべき司法国家、法治国家とは何なのか。その中で、裁判所と弁護士の果たすべき役割は何なのかについて、みんな同じイメージを抱けていたのでしょうか。私は残念ながらそうは思いません。弁護士大増員によって、理想の法治国家を作るのであれば、司法関連予算を増やし、法律扶助事業を拡大し、裁判所や裁判官を増やし、弁護士が使える権限を拡大する等が必要です。法科大学院制度も、合格率30%というのでは、昔の司法試験制度と変わりなくなってしまいます。なぜなら、その倍率では、法科大学院生は、試験合格を最大目標にせざるをえないからです。法科大学院時代、法曹になることを前提として、弁護士のスキルの習得に大半の時間を費やせるようにならないといけないと思います。今のままでは法学部教育の延長、単なる試験準備勉強になってしまいます。

 しかし、一旦動き出した制度は変わらないでしょう。弁護士大増員を抑制しようとしてもそれは多くの国民からはエゴに映ってしまうからです。司法修習の費用さえ貸与されることになれば、弁護士の仕事はますますビジネスライクになっていくことでしょう。その中で、弁護士としてどう生きていくべきかという問題は、深刻な問題として私たちに弁護士に突きつけられてくるでしょう。
 そして、実は、対岸の火事以下の出来事だと思っていた国民にとっても、弁護士をどう選んで、弁護士とどうつきあうかという深刻な問題が突きつけられていくと思います。

 弁護士が国民の皆さんのもっともっと身近なものとなって、その存在意義について理解が深まらない限り、あたらな転換期は来ないのかもしれません。

 戦前から弁護士の先達がいかにして、弁護士、弁護士会の地位を築いてきたのかという歴史を、弁護士になる時に勉強してもらう必要があると痛感しています。

ページ上部へ戻る

【札幌の弁護士 高橋智法律事務所 取扱事件】

  • 医療事故・医療過誤(患者側)
  • 交通事故(人身・物損・加害者側・被害者側両方)
  • 離婚・相続問題
  • 債務整理問題
  • 欠陥住宅・建築瑕疵問題

一般民事事件全般

  • 任意整理
  • 過払い問題
  • 過払金請求
  • 個人再生
  • 自己破産
  • 遺産分割
  • 成年後見人申立
  • 失踪宣告
  • 各種事故に伴う慰謝料等損害賠償
  • 養育費請求
  • 夫婦関係調整
  • 不動産関係トラブル
  • 貸金請求
  • 企業承継問題
  • 仮差押事件
  • 著作権・特許などの知的財産関係
  • 私選の刑事事件