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2010/08/16 (Mon)

夏の読書週間・その2・経済予測脳で人生が変わる・中原圭介著・ダイヤモンド社1500円

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 本書は、サブプライムローンに端を発する経済危機を予見していた著者が書いた物です。経済危機を何故経済学者が予測できなかったのか。それは、世界の経済が経済学の論理だけでは説明が付かないからだといいます。経済の動きは実際に消費する人々の心理や欲望、企業間の力関係などからダイナミックに実体経済は動いています。実体経済は複雑で経済学の教科書通りには行きません。

 そこで、複雑な経済実体を分析するためには、歴史学的視点から俯瞰することが大切だと著者は言います。世界の歴史は栄枯盛衰を繰り返したことを物語っています。長い目で見ると反映していたものはいつか衰退していきます。その理を知っておかねばなりません。確かに、日本の歴史教育は、イベントや人物の暗記科目に成り下がっています。というより、戦後の教育で、歴史の中に意味を読み取ってはならないとされているのです。

 さらに、経済予測に必要なのは哲学であると著者は言います。そこで紹介されているのが、浅田彰氏が「構造と力」「逃走論」で展開している「パラノ」人間と「スキゾ」人間です。パラノ型とは、パラノイアの略で、過去の全てを微分=統合化して背負い込み、それにしがみついている人間で、競争の熱心なランナーであり、一歩でも先に進もう、少しでも多く蓄積をしようと、目を血走らせて頑張り続けるのです。このような人間は幸福にはなれません。「パラノ」人間は、どんなにお金を追求し続けても、さらに豊かに、人より幸福にという欲望があるために、欲望が永遠に満たされることはありません。
 一方、「スキゾ」方人間とは、分裂症(スキゾフレニー)の略で、その都度時点ゼロにおいて微分=差別化(デファレンシエート)しているようなのを言い、スキゾ人間は競争に追い込まれたとしても、すぐにキョロキョロ当たりを見回して、とんでもない方向に走り去ってしまうとされています。現在の韓国社会がパラノ型人間社会かもしれません。一方日本はスキゾ型人間が徐々に増えつつあるのではないでしょうか。

 日本は、過去において、武器を放棄することによって対内的安泰を確保し(刀狩り)、外交面では鎖国することによって治安を維持してきたという、世界史上、極めてまれた経験をしています。そして、日本はユーラシア大陸の辺境に位置して、大陸からやってくる文化を自分なりに咀嚼して生きてきました。そういう観点から見てみると、日本の若者が外国を目指さず、小さな小さなオタクの世界に生きているのも理解できるのかもしれません。

 一度この本を手にしてみてはいかがでしょうか。新しい視点を身につけることができるかもしれません。

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