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2010/08/26 (Thu)

医療事故救済システムについて海外視察する意義

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 2008年10月に富山市で行われた日弁連人権擁護大会第二シンポジウムでは、医療安全をテーマに活発な議論が交わされましたが、その基調報告書作成のための調査で、実行委員会による海外視察が実施されました。視察団は、患者側弁護士を中心に10名の弁護士が参加しました。

 視察先はイギリスとフランスで、フランスの無過失補償制度を中心として、英仏では医療事故被害についてどのような救済制度が作られているのかについて、視察が行われました。その成果は、「安全で質の高い医療を実現するために」〜医療事故の防止と被害の救済のあり方を考える〜(あけび書房)の第7章としてまとめられておりますが、この海外視察の経験を通じて、視察に参加した弁護士は、日本における医療事故被害の救済システムの劣っている点、優れている点を認識するとともに、医療事故問題に取り組む姿勢を見直す機会を得ました。
 例えば、とかく我が国では、医療事故の被害救済というと刑事事件による救済を考えがちです。しかし、フランスでは、医療事故を国民共通のリスクととらえ、無過失補償を実現しています。医師は絶対間違わないという神話から脱却し、逆にミスはいつでも起こりうるものなのだという前提で、税金を投入して手厚い補償を実現していたのです。
 医療事故は無くそうと努力しても、どうしても生じてしまうものですが、事故が生じた以上、まず、適切な・充実した補償を迅速に行うことが大切だと言うことを学びました。

 外務省の便宜供与であったため、スケジュールに制約があったのですが、視察の最中、もっと海外の制度について学びたい、同じように医療事故に取り組んでいる弁護士から話を聞きたい、病院関係者にも話を聞きたいという気持ちが芽生え始め、今年6月のドイツ・オランダの視察が実現されたのです。
 今回は、視察先の選択、通訳選びから視察団が行い、ドイツ、オランダでは、充実した視察を実施することができました。特に、患者側団体の方や医療事故患者側弁護士と面談できたのは本当に貴重な経験となりました。
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 私が感じたのは、日本の裁判所を通じた医療紛争の解決システムも捨てたものではないなと言うことです。しかし、裁判手続による医療紛争解決には、手続の煩雑さや鑑定の問題など様々な改善点があります。これを使い勝手がよく、信頼に足る手段にしていくことが大切だと思います。医療紛争に関わる法曹関係者が皆協力して裁判の運用方法をブラッシュアップして行く必要があると思います。
 昨今、医療訴訟の勝訴率が25%近くに落ち込み、提訴数も減少しています。これは裁判所にとっても弁護士にとっても非常に憂慮すべきことだと思います。医療紛争解決手段としての訴訟が市民から見放されたのではないかという危機感を覚えます。

 今回の視察の最中から、次回はニューヨークに視察に行こうという話が持ち上がっており、2012年に実施の予定です。準備期間はあと2年間あります。この間、視察のための資金的な準備とともに、事前勉強をしたいと思っています。

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