2011/04/29 (Fri)
志賀原発2号機差し止め訴訟〜原発差し止めを認めた唯一の裁判〜
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石川県にある志賀原発の2号機について、「電力会社の想定を超えた地震によって原発事故が起こり、住民が被ばくする可能性がある」として運転差し止めを命じた判決があります。平成18年のことです。原発の差し止めを求める住民訴訟はこれまで各地で起きていますが、訴えが認められた例は他にはありません。
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判決当時はこの判決を非難する意見も多かったようです。しかしながら、今読むと本当に示唆に富む判決だったと思います。判決文を引用しておきましたので、是非読んでみてください。この判決を読む限り、原発事故は想定外ということはあり得ないことが理解できるはずです。
判決を下さしたのは井戸裁判長ですが、これは時流に乗せられず、原発安全神話に流されることなく、真剣に自分の頭で原発の安全性について考えた結果だったと思います。
裁判官がもっともっと真剣に原発のことを考えて、多くの差し止め判決が出ていたら、もっともっと安全性が確保されていたのかも知れません。
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100人中99人の人が白だという意見をもっていたとしても、証拠上黒であれば、黒と認定するのが裁判官のはずです。裁判所は人権の最後の砦です。その最後の砦は多数決で決まる立法の論理とは異なります。どんな経済的弱者でも経済的強者に勝つことができるのです。
原発の差し止め訴訟でこのような判決が一つでもあったことが救いです。これからの原発の差し止め訴訟の行方が注目されます。
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地震国での原発の危険性を認めるところからスタートするのと、安全だと認めることからスタートするのは全く着地点が違ってきます。原子力発電を危険だと考えても、現在数多くの原発が完成し、稼動している現実を踏まえて、どうこれと立ち向かっていくのかが問題です。地震はいつ襲ってくるかも知れません。その時の電源の確保と配水管の確保が絶対の急務です。
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以下は判決文の一部です。
「被告が,本件原子炉が基準地震動S1,S2を超える地震動を受けたときの解析をしていないため,その場合にどのような事象が生じるかは推測の域を出ないが,可能性としては,碍子破損等による外部電源の喪失,非常用電源の喪失,配管の破断,シュラウドの破断(前記第4の3(1)ア(ウ)a(b)で認定したとおり,シュラウドは基準地震動S1,S2に耐えることを健全性評価の基準としている。),冷却材の減少,喪失,ECCSの故障,反応度の上昇等が考えられるし,最後の砦であるスクラムの失敗も考えられないではなく,炉心溶融事故の可能性も反応度事故の可能性もあるというべきである。いずれにしても,被告が運転時の異常な過渡変化や事故の評価の前提としている機器の単一の故障や単一の誤操作に止まるものではなく,様々な故障が同時に,あるいは相前後して発生する可能性が高く,そのような場合,被告が構築した多重防護が有効に機能するとは考えられない。そうすると,その場合,本件原子炉周辺住民が許容限度を超える放射線を被ばくする蓋然性があるといわざるを得ない。」
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「本件原子炉の運転は私企業の経済活動であるが,被告が本件原子炉で生産しようとしているものは電気という公共財であり,その運転が差止められれば,我が国のエネルギーの供給見通しに影響を与えかねないということはできる。しかしながら,証拠(甲955)によれば,平成16年秋には本件原発1号機の定期検査が約2か月間延長されたが,被告の電力供給にさしたる問題がなかったことが認められるから,本件原子炉の運転が差し止められても,電力需要が伸び悩む中,少なくとも短期的には,被告の電力供給にとって特段の支障になるとは認め難い。他方,被告の想定を超える地震に起因する事故によって許容限度を超える放射性物質が放出された場合,周辺住民の生命,身体,健康に与える悪影響は極めて深刻であるから,周辺住民の人格権侵害の具体的危険は,受忍限度を超えているというべきである。
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「事故によって原子炉内の放射性物質が外部に放出されると,周辺公衆は,放射性煙霧からのガンマ線外部照射,放射性煙霧を吸入して放射性物質が体内に取り込まれることにより身体各部が受ける内部照射,放射性煙霧が直接農作物に沈着して汚染し,それを食べることによって起こる内部照射,放射性煙霧が沈着して土地を汚染し,そこにできる農作物やそこに育つ家畜などを食べることによって起こる内部照射などの過程を通じて,放射線を被ばくする」「原子力発電所で重大事故が発生した場合,その影響は極めて広範囲に及ぶ可能性があるというべきである。そして,前記ウ(オ)の被害予測によれば,本件原子炉において地震が原因で最悪の事故が生じたと想定した場合は,原告らのうち最も遠方の熊本県に居住する者についても,許容限度である年間1ミリシーベルトをはるかに超える50ミリシーベルトの被ばくの恐れがあることになるから,全ての原告らにおいて,上記具体的危険が認められるというべきである。
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