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2011/10/17 (Mon)

医療訴訟における因果関係の立証の困難性を克服するために

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 最近、医療事故について裁判所に提訴する数は減少しています。提訴数が減少しているのは、実際の医療事故が減っているからでしょうか。韓国の訴訟数のデータや我が国の労災事故数の推移から見て、実際に医療事故数が減っているわけではなく、日本における医療訴訟の新受件数は余りに少ないと思います。

 そして、その原因は余りに低い認容率にあるのではないかと思います。認容率はアメリカでもドイツでも20%前半であるが、アメリカでは一般事件の勝訴率が50%程度に対して、日本では85%程度であり、一般事件勝訴率との格差が激しすぎるというのです。特に、医療集中部での認容率は10%を下回っており、このような状況は余りにも異様です。
 したがって、医療事故の被害を救済するには、不当に低い医療訴訟の認容率を上げることが重要であるということになります。

 ところで、日本の医療訴訟で認容率が低いのは因果関係の認定が極めて厳しいからだというのが定説です。行為と結果の間に高度の蓋然性があれば因果関係を認めたのはいわゆるルンバール事件判決ですが、その判決で証明の対象となったのは、特定の事実が特定の結果を招来した関係について、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確認ができればよく、しかも、それは歴史的証明で足りるという判断でしたが、その後、高度の蓋然性が認められなくても相当程度の可能性があれば本来の意味の相当因果関係が認められなくても、救済するという判決が続く内に、因果関係論が確率論に変容してしまい、たとえば確立が80%だったら認めるが、80%を切ったら因果関係を否定するというようになってしまいました。

 本来は、特定の事実が結果を招来したかを通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確認ができれば良いはずだったのに、最近では、医学的機序(メカニズム)を説明させることを原告に課して、それがうまくいかなければ立証できてないとするというのが裁判所の態度であるが、本来医学的機序は立証の対象になっていないはずです。

 裁判所は、私的意見書の提出を求めることを過度に要求しており、医学的メカニズムの解析を原告側に求めるという傾向は強まりつつあります。医療訴訟を提起する場合何らかの落ち度が医療側にあることが多いはずで、敗訴する主な理由は因果関係が否定されるからということが多いと思います。
 この流れを食い止めるには、患者側弁護士は、裁判所の言いなりになるのではなく、因果関係の立証を過度に求められていることについて理路整然と自分の意見すなわち「ルンバール判決通り、特定の事実が特定の結果を招来するかどうかを通常人が高度の蓋然性があると判断すれば因果関係を認めて良いはずだ」という意見を述べていかねばならないと思います。



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