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2011/10/16 (Sun)

予後不良事案の死亡慰謝料・医療過誤弁護団全国交流会研修から

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 交流会で、東京の医療弁護団からのレポートがありました。テーマは、既往症疾患の生命予後が不良である患者が医療過誤被害にあった事案で、かつ、死亡との相当因果関係が認められる事案についての慰謝料認定についてです。医療事故ならず交通事故訴訟などでも役立つ発表でした。

 認定余命について1年以内など認定された事例については、限定的に認定される傾向にあります。しかも、事件が古いほど低額認定です。たとえば、平成12年当時は、500万円前後がなされているが、徐々に高額化してはいる。しかしながら、例え予後数ヶ月の患者であっても、500万円というのはいかにも低額に過ぎると思います。余命の価値は、短ければ短いほど極めて大きいはずです。
 死亡という事実は、余命がたくさんあるものであってもないものであっても同じなのではないでしょうか。余命で差が出るのは逸失利益などですが、余命を慰謝料評価に導入することは、命を物的にみる姿勢に他ならないと思います。
 余命について具体的期間が認定されなかった事例は減額は余りされないという傾向があります。但し、担当する裁判官によってその認定方法には大きな差があるようです。

 判例その1
 64才男性、600万円年収、早期肝細胞ガンが発見されたのに、C型肝炎と診断されながらインターフェロン治療の適否についての診断や画像検査をしなかったため、多発性肝細胞ガンになった案件で、2800万が認定されました。但し、控訴審で覆されて1600万円となってしまっています。

 判例その2
 45才男性、肝硬変の既往症がある案件である。肝硬変であるが、健康保険適用上の便宜を図って慢性肝炎という診断名として、治療を継続したのだが、担当医師は肝硬変であることを忘れてしまったという案件では、医師として初歩としてミスである、大学の教授であるという立場、便宜供与を強調する応訴態度を勘案して3000万円の認定がなされたという案件です。

 判例その3 
 生後まもなく脳症に罹患していた18才の女子に、誤ってエタノールを吸引させ続けたという案件は2400万円の慰謝料が認定されました。
 過失の重大性が重要視されたようです。
この事案では、予後が厳しいので、慰謝料幅について大幅な差をもうけるべきだという被告の主張に対して、裁判所は、逸失利益については影響を受けるが、死それ自体によってもたらされる精神的苦痛は余命とは関係がないという認定をしています。

 予後不良患者の死亡案件では、以下の観点が必要と思います。

(ア) 失われた期間の長短によって死亡による精神的苦痛は異ならない。

(イ) 余命は軽々に認定できないはずである。

(ウ) 慰謝料増額事由の存在も必ず存在するはずである。

(エ) 逸失利益についても必ず存在するはずである。

(オ)既往症患者の死因への寄与があっても安易な減額は不当である。なぜならば、既往疾患の存在を前提として、当該疾患の治療することを目的とすることをものであるから、当該治療に過失がある以上、既往疾患の存在を理由とする減額は許されないとする反論も充分に成り立つはずである。



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