法律の豆知識

「訴えてやる」は怖くない!

「訴える」と聞いて驚き、知らない相手に数百万円のギフトカードの暗証番号をメールで送付したという詐欺事件の報道がありました。どうして訴えられることが「脅し」になるのでしょうか。大いに疑問です。
最も勘違いしているのが、相手方の弁護士が自分のところに来るという話。弁護士は原則相手方へ行きません。
訴訟提起とは、民事訴訟の原告が裁判所に請求権行使の審理を求めることで、裁判所が勝ち負けを決めます。だから、訴訟提起だけでは何の不利益もなく、訴状が自分の住所に届くだけです。
では訴状が届いたら、どうするか?通常一カ月程度先に指定されている第1回弁論期日までに弁護士を探せば良いので、焦る必要はなく、訴状が届いた日に決めることはありません。何より、紛争の当事者が直接感情的にやり合うよりも、裁判にした方が冷静に話し合えます。しかも、その申し立ての手間や印紙代を相手方が出してくれるなら、かえって好都合でしょう。私からすると「訴えてやる」は脅しの言葉ではなく、「ラッキー」な言葉なのです。

裁判員制度と弁護士大量増員時代の関係

裁判員制度がスタートした。市民が裁判に関わることになって、より裁判に関心を寄せられている方も多いように思う。では、なぜ、今、裁判員なのだろうかと考えてみたことはあるだろうか。
私は、裁判員制度の導入は、国と個人の関わり方の変化と密接に関係していると理解している。

裁判員制度と弁護士大量増員時代の関係

今まで、日本は事前規制社会であった。さまざまな事案に国が中身を吟味して、許認可していたのである。ところが、これではアメリカの企業が参入しようとしても市場に出られない。そこで、規制緩和がなされた。事後規制社会への大転換である。事前規制しない以上、どのようなまがい物が出てくるかは判らず、インチキな企業も市場に参入して来やすくなっている。
しかし、それを今までのようにお上が守ってくれることはしない。自分で守るというのが原則になったのである。

考えてみれば、銀行や郵便局の貯金もそうだ。どの銀行に預けても同じだけの高利率のリターンが期待できるという時代は終わった。ハイリターンを求めるためには、ファンドを吟味して、投資をする必要があるのである。
市場で購入したサービスによって、損害を被ったら、自分の責任で弁護士を探して、自分で回復しなさいという社会が誕生したのだ。そのために弁護士を大量に生み出す必要があったのだ。

民法が大改正を迎えているが、これも世界各国が市場参入しやすい社会を作るためであり、各国が日本の市場参入するための土俵をつくるためだ。長い目で見ると日本の市場はもっともっと開放されていく方向に進み、事後規制社会は徹底されていくだろう。

裁判員は、一市民が社会の代表として、社会のルールを破った者に対して刑事罰を加える過程に参加するものであるが、そこには社会のルールを破ったものは市民自身が制裁を加えていく、すなわち、自分たちのことはお上ではなく、自分たちで決めていくということにつながっている。
民事でも刑事でも、自分たちの利益は自分たちで守っていかねばならない。数多くの弁護士の中からどの弁護士を選ぶかも自分の責任という厳しい時代が来たのである。国の庇護の元で牧歌的な民主主義を謳歌してきた時代は完全に終わりを告げた。
裁判員制度の到来は決して偶然ではない。必然のものだ。そこを読み切っていないと、道を誤る。

諺にみる訴訟の世界II

案ずるより産むが易し

あれこれ考えているより、実行してみると意外に前が見えてくることがあります。離婚問題や多重債務問題などを抱えているけれども、それを人に相談できないで、あれこれ考え込んでしまう人がたくさんいます。弁護士に相談をして実行してみると案外簡単だということも多いものです。

案ずるより産むが易し

餅は餅屋

素人の経験談ほど怖いものはありません。我々はプロです。様々な事案を経験する中でお伝えできることがあります。ところが、素人の経験者の経験は一度。それが全てです。だから、その経験に基づく視野の狭いアドバイスしかできないものです。法律問題は、資格を持った弁護士にご相談ください。

急がば回れ

裁判は時間がかかるから相手の方と直接協議する方が、解決が早いのではないかと考えがちですが、そうでもないのです。弁護費用を節約し、直接交渉してみようとしても、なかなかできるものではありません。解決の基準が分からないからです。また、感情的な対立が冷静な解決の妨げになることもあります。裁判は、公正な第三者が間に入って解決策を出すというシステムで、最も公平であることを歴史が証明しています。
ただし、欠点は時間がかかるということ。しかし、一歩ずつでも解決に向かってゆっくり歩んでいた方が、結局、早くゴールに辿り着くことが多いのです。

知らぬが仏(しらぬがほとけ)

真実や真理を追求したり、ものごとの真相を突き止めることはとても重要です。と同時に、その答えがでたときに、誰もが全てを知らなければならないことはなく、本人にも知らせなくてよい秘めごともあるということです。
法律の世界では、知らなくても良いことはありません。逆に知っていないと損をすることが多いのです。「法律の不知は許さず」といって、「僕は法律を知らないから」といっても法律はあまねく適用されてしまいます。法律を知っていれば得をすることが多いわけです。ただし、事実を知っていて何もしないと損をすることがあります。時効などがその一つです。権利の上に眠る者は救済しないというのも法律の考え方です。

知らぬが仏(しらぬがほとけ)

交通事故に遭遇したら

「実況見分調書」とは

自分が交通事故の被害者になってしまったら?そんな時に備えたケースについて考えてみます。
意外と知られていないと思いますが、交通事故に遭遇し人身事故に発展した場合、警察官が、「実況見分調書」という書面を作成します。これは、交通事故の加害者もしくは被害者が交通事故現場に立ち会い、事故に至るまでの状況を、警察官に対しこと細かに説明し、この内容を警察官が、図面とともにまとめた書面のことです。
当事者間で訴訟にまでなった場合、必ず証拠として「実況見分調書」が提出され、裁判所は、基本的に、この実況見分調書どおりの事故態様と考えます。なぜなら、実況見分証書は、警察官が立ち会い、記憶が鮮明な事故直後に当事者から聞き取りを行って作成されているため、裁判所は、当事者は、警察官には真実を語っているだろう、と推認するからです。

保険会社だからといって、必ずしも…

交通事故の被害者となった場合、事故についての交渉は、相手方の保険会社と行うことになるでしょう。最終的には、相手方保険会社から、被害者の損害額について示談案の提示がなされます。その際、有名な大手保険会社であれば、おかしな提示はしないはずだから、きっと妥当な金額と思い示談してしまう方も少なくないと思います。
もちろん、提示額が適正なこともありますが、事件を加害者側から見るのと、被害者側から見るのとでは損害の評価に差がでてくる場合があります。
もしここで、提示された金額が妥当かどうか、そんな思いがよぎったら、一度、弁護士に相談してみるのが良いでしょう。そもそも、交通事故の際の損害項目には、治療費・休業損害・通院交通費・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・後遺障害に基づく逸失利益などが考えられます。治療費を除く上記項目は、裁判上ある程度の基準が決まっているため、弁護士が事情を聞くことで、提示額の当不当について助言をすることは十分可能です。
また、一旦、無条件で示談をしてしまうと、後になって後遺障害が生じた場合の損害賠償請求手続が煩雑になる可能性があります。仮に早期に示談をするとしても、「後遺障害については除く」という条件を明確に付けておく必要があります。

後悔しないために弁護士にご相談を!

保険会社と被害者とでは、当然ながら、交通事故に関して有している知識・情報に格差があります。その差を埋めるためにも是非一度、弁護士に相談されることをお勧めします。当事務所では、交通事故事案について、被害者の方に負担とならないような費用設定もしております。お気軽にご相談ください。

諺にみる訴訟の世界

沈黙は金

「沈黙は金、雄弁は銀」などということわざがあります。訴訟の世界ではどうでしょうか。人にものを言われた時の反応には様々なものがありますが、民事訴訟の世界では大きく4つに分かれています。それは、相手の主張を「認める」「否認する」「知らない(不知)」「黙る」の4つです。
このうち、「知らない」は否認の一形態となるので問題ありませんが、「黙る」というのは「認める」に分類されてしまいます。

沈黙は金

相手の主張に対して、何も答えないとそれは「認めた」と同じことになります。また、裁判所から正式な呼び出しを受けて出頭しないことも、相手方の主張を「認めた」のと同じことになってしまうことがあります(擬制自白)。訴状を受け取ったが身に覚えがないということで放置していると後で大変なことになってしまいます。
法律の世界では「沈黙は金」にならないようです。

負けるが勝ちと喉元過ぎれば熱さ忘れる

自分に見合わない借金を一生懸命返し続けて、周囲に借金をして、体をこわしてまで頑張り、ついに疲労困憊して相談にいらっしゃる方が多いのです。負けるが勝ちのたとえ通り、一度自己破産等の法的整理をして、一から出直す路を選択されてはどうでしょうか。
破産を決意された時点から生活は楽になるのですが、ここで注意すべきは債務超過の時の苦しかった生活を忘れ、また、借金を重ねてしまうこと。残念ながら、そういう方がいるということです。一度破産したら、再度の破産というのは10年間できませんし、10年後の破産申立をしても免責決定をもらうのはなかなか厳しいというのが現実です。

論より証拠

これは民事訴訟にぴったりと当てはまります。正確に言えば、主張よりも客観的証拠という感じでしょうか。相談者の方の言い分は良く理解できます。しかし、それを証拠づけることができるかという問題がいつも立ちはだかります。
特に、離婚問題では、殴られたり、浮気をされたりした証拠を残していないことが多いものです。逆に言うと、離婚するかどうかは後で考えるとして、殴られたその証拠(写真、診察、診断書)を保存すること、浮気されたらその証拠(手紙、写真、素行調査)などの確保に努めておくことが必要といえます。

時は金なり

民事訴訟の中には、待ったなしの期間限定が多くあります。これを「不変期間」と呼んでいます。
判決を受けてから2週間以内に上訴しないと上訴権を失うのが典型的な例です。時効にも気をつけたいですね。請求書を送っているから債権は時効消滅しないと思っている人も多くいらっしゃいますが、請求書だけでは完全ではありません。裁判上の請求までしておかないと完全に時効は止まりません。

法的紛争の初期対応

何事も最初が肝心

もしも病気になったなら、治療の理想は早期発見、早期治療でしょう。そのためには、定期的に健康診断を受けたり、おかしいなと思ったならば、すぐ医師にかかることが大切です。これはわれわれの法律相談業務でも同様のことが言えるのです。
医療事故に限らず、最も経済的な解決手段は、紛争の芽が出てしまったら、大事になる前に、法律相談をして事前に紛争化を防ぐことです。その場合は弁護士費用も法律相談料程度(当職事務所では1回、1時間で5,000円)ですみます。

何事も最初が肝心

もし、訴訟を起こすのなら

この初期対応を誤ると、紛争は顕在化してしまい、訴訟案件になってしまいます。治療でいえば手術が必要という段階でしょうか。
ところで、医療は医師でなければできないと考える人がほとんどです。自分の力で自分の体を手術しようと思うのは、ブラックジャック並みの能力を持った人ぐらいでしょう。
ところが法的な問題になると、弁護士に相談するのをためらって、なんとか自前で解決しようとする人が多くなります。
例えば、古い借金債務について、自分で処理しようとして、時効にかかっていたのに債務の承認をしてしまい、逆に時効の援用ができなくなってしまった、などという、いわゆる「後の祭り」的な相談によくでくわすのです。

弁護士大量増員時代

今年から新司法試験がスタートし、2007年には一気に3000人の法曹が、翌年からは2000人以上の法曹が増える予定です。弁護士が増えるため、その意味では弁護士に依頼しやすくなるでしょう。ただし、弁護士という法的な武器が充分に出回ると、将来的には訴えた側と訴えられた側の、どちらがよりよい性能を有する武器(弁護士)を入手したかが問題となってくるのではないでしょうか。
弁護士を1つの法的な武器として考えるならば、武器を持って戦うか、素手で戦うかの違いは非常に大きいし、優秀な武器(弁護士)に巡り会えるかどうかの違いも、勝敗を大きく分けることになると思われます。

裁判手続でよくある誤解

裁判には出頭義務がある?

裁判をすると、毎回法廷に立たねばならないと誤解しているみなさんが非常に多いようです。法廷は、日中に開催されるため、仕事を持っている人が法廷に行くのは大変です。だから、代理人制度があるのです。
弁護士は法廷に立つことが許されている訴訟代理人です。裁判の時は自分が行かなくてもかまいません。法廷に行くのは弁護士に任せておけばいいのです。

裁判には大金がかかる?

裁判をすると大変な費用がかかると思っていませんか?医療訴訟などでは、それこそ「自分の全財産を投げ打つようなことをしなければ勝てないのではないか」と思っている方々もいるくらいです。訴える時(訴訟提起)にかかる費用は、弁護士費用を除けば、訴訟提起の時に納める印紙代と郵送料(郵券代)くらい。建築紛争や医療事故で、専門家の鑑定が必要となる場合には、鑑定費用として100万円前後かかることもありますが、それは本当に特殊な事件だけなのです。

裁判には大金がかかる?

印紙代は、例えば、1000万円の損害賠償請求訴訟を提起しようとしたら、約5万円程度であり、案外安い。一度納めたら、裁判に時間がかかっても超過料金を取られることはありません。裁判官に公平な判断を仰ぎ、紛争が解決するなら、それほど高い費用とはいえないのではないでしょうか。
ちなみに、訴訟費用は負けた(敗訴した)当事者が負担しますが、それには、相手方当事者が頼んだ相手方弁護士報酬などは含まれません。これも誤解している方が非常に多いのです。

破産による制約

破産をすると、銀行に預金ができなくなるのではないか、車も持てなくなるのではないか、家財道具を全部取られてしまうのではないかという質問をよく受けます。銀行預金をしてもかまわないし、市場性のない中古車程度であれば持っていることも可能です。家財道具も生活必需品であればたいがいのものは差押えを受けることはないし、ここ数年は家財道具を引き取ってくれる業者も見つからないことから、動産差押えをする金融機関は滅多にありません。
また、破産と同時に免責許可の申立をすると、強制執行はできなくなることになっているので、差押えの心配をする必要もないのです。「破産宣告」という言葉の持つインパクトが誤解を生む原因になっていると思いますが、いったん借財をゼロにして再チャレンジができるという意味では極めて有意義な制度なのです。

法律を知っているか否か?~知らなかったではすまされない~

法律を知っているか否かで天と地ほどの差があります。

国会毎に新しい法律が作られたり改正されますが、われわれはそのすべてを知っているわけではありません。しかし、法律には従わなければなりません。
例えば山奥で暮らしていた人が、新しくできた法律を知らなかったという理由で、運転中に携帯電話をかけていても「処罰されることはない」と主張することはできないし、「従う必要はない」とは言えないのです。

日々変わる法律、知らなければ損をする?

相続放棄は、被相続人が亡くなり、相続すべき財産があることを知ってから3カ月以内に手続をとらねばなりません。相続財産がプラスかマイナスか分からないときには、相続放棄をするかどうか、考える期間を延長できる手続きがあります。逆に、被相続人が亡くなったあと、安直に被相続人の財産を処分して(法定単純承認行為)多額の債務も相続してしまう場合もあります。
夫婦関係では、2007年に年金の分割が認められることを知っていれば、それを待って離婚手続をした方が有利です。税法上は、長年連れ添ってきた夫婦間で不動産を贈与しても、贈与課税されない場合もあります。

闘いに勝つためには性能の良い武器が必要

毎年400名程度増えていた弁護士数が、来年から1500名程度に膨らむ予定です。また、経済的な事情で武器を持てなかった方たちも、司法支援センター制度の扶助事業を利用して、センターから弁護士費用を一時立て替えてもらうことで、武器を使えるようになりそうです。
武器が出回ると、今度はより精度の高い、強力な武器を選ぼうとするでしょう。素晴らしい武器は高額かもしれないし、選ばれなかった武器は、使い手を求めてさまようことになるかもしれません。

闘いに勝つためには性能の良い武器が必要

法律の世界でいう武器対等の原則とは?

法律の世界は冷徹です。法律を知っていることを前提として、すべてが判断され、知らなかったではすまされない世界です。
法律の世界には、武器を対等に持つ機会を与えるという武器対等の原則があります。一般民事事件でいえば、武器の一つである弁護士を委任せずに訴訟に臨むということは、丸腰で拳銃を持っている相手に立ち向かうようなものです。拳銃を持っていても、事案によっては、弁護士も拳銃の弾が準備できなくて、丸腰の相手に負けることもありますが、負けるにしても、かなり軽傷ですむことが多いのです。

連帯保証にまつわる責任の話

残された借金を、全額支払う覚悟は?

主たる債務者が経済的に破綻して、残金の支払いを一括して求められ、あわてて相談に来られる例が多いようです。
連帯保証をするということは、主たる債務者が支払いができない場合、その人に代わって、元金はもちろん、利息・遅延損害金も含めて、自分の責任財産をもって支払う約束をすることです。すなわち、連帯保証人は、自分名義の不動産、預貯金など自分の資産をもって、主たる債務者の債務を弁済しなければなりません。債権者が認めれば分割弁済することも可能ですが、主たる債務者の借金を支払わねばならないことにかわりはありません。

残された借金を、全額支払う覚悟は?

連帯保証人の責任は厳しい。

よく「まず、主たる債務者に催告をしてくれ」とか、「債務者の財産を先に探して差し押さえるようにしてほしい」という依頼を受けますが、残念ながら単なる保証人ではない『連帯』保証人にはそのような催告の抗弁権や検索の抗弁権は認められていません。また、主たる債務者が支払い不能となっているから連帯保証人に支払いが求められているのであり、主たる債務者に代わって支払いをしても、主たる債務者に求償してお金を回収することは、難しいのが実際です。
従って、連帯保証人となる場合の心境として、本当は、「主たる債務者が支払いを滞らせたら、自分の全財産をもって、代わって支払いをすることになってもしかたがない。そうなっても後悔はしないし、あわてない」「もし主たる債務者が支払い不能となったら、その時点の滞納額を無償でプレゼントしてあげる」というようなものでなくてはならないはずです。

連帯保証人はやめるのが難しい。

連帯保証の悲劇は、連帯保証契約を締結する際には、法律的な意識が極めて希薄で義理人情が支配しているのに、連帯保証の責任が求められる場面では、極めて冷徹な法的責任が前面に出てしまうという点でしょう。
また、いったん連帯保証契約をしてしまうと、簡単に解約できないのも重大なことです。連帯保証契約はあくまでも金融機関と締結するもので、連帯保証からはずれるには金融機関の同意を得る必要があります。
連帯保証契約をする際には、弁護士とよく相談をして、覚悟を決めて、後悔しないようにすべきでしょう。そして、もし覚悟なしに連帯保証をし、連帯保証人としての責任の履行を求められたとしたら、弁護士と相談して、現在の財産状況を踏まえた上で、善後策を立てるべきでしょう。

訴訟にまつわるお金のお話

訴訟費用と弁護士費用

訴訟費用とは訴訟を提起したときに裁判所に納める金額で、裁判所に判断してもらう対象物(=訴訟物といいます)の価格に対して一定の割合が定められています。たとえば200万円の請求をしたいという場合には1万5,000円で、調停だとその半分、控訴するとその1.5倍の金額を裁判所に納めねばなりません。訴訟費用は一定の割合で相手方に負担させることができます。負担の割合は裁判官が判決によって決定します。なお、これとは別に郵券代も納めます。

訴訟費用と弁護士費用

一方、弁護士費用は訴訟物の価格の10%程度が着手金、15ないし20%程度が成功報酬であり、後は訴訟の難易や執行の実現可能性などによって、変わってきます。原告の場合でも、相手方から弁護士費用までは取れませんし、被告の場合でも相手方の弁護士費用まで負担する必要はありません。
ただし、例外的に相手方から弁護士費用を取ることができる場合があります。交通事故、医療事故などの不法行為と呼ばれるタイプの訴訟です。この場合には、請求金額(訴訟物)の10%分を相手方に負担させることが可能となっています。

弁護士費用はきわめて高額

山口百恵が主演した映画に「霧の旗」(松本清張原作)という作品があります。兄のえん罪を晴らしてほしいと三國蓮太郎演ずる高名な弁護士に頼みますが、とてつもない着手金を要求され、涙をのんで諦めます。兄は拘置所で自殺。山口百恵は同弁護士に兄の復讐をするというストーリーです。また、先日まで放送されていた「白い巨塔」でも、患者の家族は店の権利を売って、数百万円という弁護費用を調達しました。しかし、実際の弁護士費用はこのような高額ではありません。
あらかじめ料金表を見た上で、委任契約の合意を取り交わし、高額に過ぎると思えば交渉したり、他の弁護士を探せばいいのです。弁護士費用のほかに必要な費用として、郵券代、裁判所記録の謄写費用、旅費、交通費などの実費があります。遠隔地に赴く出張には、日当3万円~5万円をいただいております。

医療事故や交通事故事件の弁護士費用

医療訴訟の場合は、訴訟物の価格が大きく印紙代が高い上、カルテの謄写費用、協力医に意見を聞きに行く時の旅費など、最初に負担しなければならないお金が大きくなります。そのため弁護士報酬は完全後払い制で行っています。ただし、保全のために必要な弁護士費用30万円と実費20万はどうしても必要となります。また、訴訟に移行する場合には、前述の裁判所に納める訴訟費用が必要となります。
また、交通事故の場合、加害者が損保保険に加入していれば、実費以外の着手金をいただいておりません。これは、解決後に確実に支払いを受けることが可能だからです。弁護士費用は保険会社からすでに提示されている金額までについては発生しません。増額した範囲で弁護士費用を考えるのです。ですから弁護士に頼んだために元本割れが生じ、損をするということはありませんので、ご安心ください。

離婚問題に悩んでいたら

離婚の際に解決しておくべきことは、たくさんあります。

離婚を巡るトラブルを解決するには、家庭裁判所の調停制度を利用するのがいちばんです。
1,000円程度という本当に少額の中立手数料で、裁判所の調停委員が夫婦の間に人って解決案を斡旋してくれます。
離婚の際に解決しなければならない問題としては、以下のようなことが考えられます。

  • 別居期間中に夫から妻に支払われる婚姻費用。
  • 婚姻生活の開始から別居時までに形成された財産の分与問題。
  • 不倫などを原因とする慰謝料の問題。
  • 子どもの親権の問題。
  • 子どもの養育費の問題。

いずれも重要な問題なので、離婚に際してはきちんと解決しておくこと望ましいでしょう。

離婚の際に解決しておくべきことは、たくさんあります。

調停の段階から、弁護士に相談しておきましょう。

相談にいらっしゃる方が誤解していることがいちばん多いのは、調停手続に弁護士を選任できないのではないかということでしょう。
弁護士は調停の段階から選任できますので、離婚に関するさまざまな問題の解決について、ご相談ください。
もし、調停が不成立となった場合には、法改正によって、家庭裁判所でそのまま扱われることとなる訴訟事件に移行します。その際も、あらかじめ介護士を選任していれば、滞りなく手続きが進められます。
離婚調停では、申立人と相手方の待合室は別で、調停室にも交互に顔を合わせることなく入ることになります。
むろん、介護士も同席します。
当職事務所では、裁判になった場合でも、調停で終わった場合でも、弁護士費用に差を設けていませんので、調停段階からご相談されることをお勧めします。

慰謝料や養育費の、おおまかな金額について。

また、慰謝料の金額を過大に評価しておられる方も多いと思います。当職事務所で取り扱った事例からいえば、典型的な不倫で300万円から500万円程度でしょうか。
養育費は、一人3万円程度が標準的といわれていますが、現在は、夫の収入や子どもの数などから、適切な養育費を求める表がありますので、ぜひ一度ご相談ください。

同居しながら離婚調停することもできます。

別居しないと離婚調停を申し立てできないと間違いされている方もいますが、同居しながら離婚調停を申し立てられる方も多いのです。
また、別居しながら調停を申し立てる場合、婚姻費用の支払いは男性にとっても女性にとっても重要な問題です。婚姻費用とは、別居中、夫から支払ってもらえる別居後の生活費のことです。
婚姻費用も、養育費同様、夫と妻の収入の状況、子どもの有無などから、総合して判断されます。
婚姻費用を受け取ることは女性にとって極めて重要なことですが、離婚を望んでいる男性にとっても大切なことです。これを支払っていないことは、離婚判決上とても不利に扱われるからです。

離婚成立後の女性と子どもの氏について。

離婚後、女性は原則として旧姓に戻る(復氏)のですが、女性の側で希望すれば、そのまま氏を利用することができます。氏の変更は、社会生活上不都合が多いことから、旧姓に、戻らない方も数多くいらっしゃいます。
子どもの氏はどうなってしまうかですが、戸籍法によって戸籍筆頭者とその戸籍に入っている子どもの氏は同一でなくてはならないという原則があります。また、戸籍筆頭者でない者が離婚した場合、独立して別の戸籍が編纂(へんさん)されます。

離婚成立後の女性と子どもの氏について。

女性が親権者となって子どもを育てていく場合、子どもが同じ姓でないこと、あるいは同じ姓なのに、自分の戸籍に入っていないことは大変な不利益を伴います。
そこで、自分の戸籍に子どもを入れる場合には、離婚後、子の氏の変更を家庭裁判所に申し立てなければなりません。これは裁判所の許可が要件であり、夫の許可は不要です。このような手続をとって初めて、母親と子どもが同じ戸籍に入ることができるのです。
当職事務所では、女性が離婚して親権を得た場合、子の氏の変更手続きも含めて、お手伝いをさせていただいており、このための料金を特別にいただいておりません。

なにもしなければ、問題は永遠に解決できません。

経済的にいうならば、女性にとって離婚はやはり不利です。しかし、だからといって、経済的にゆとりのある生活をするために、我慢してストレスのかかる家庭環境に身を置いていると、鬱的な状態になる方も多いのです。
トラブルには必ず終わりがあります。しかし、ただ一つ終わらない場合があります。それは、解決のための手続を開始しない場合です。始めなければ終わりもありません。

離婚にかかる弁護士費用と報酬について。

離婚についての弁護士費用ですが、原則として30万円で着手させていただいております。
報酬については、離婚することについて争いのある場命には、離婚成立の際に同金額程度。また、離婚にともない、養育費などの給付請求をする場合には、現実に給付きれた金額の2割。給付を求められている場合には、相手方からの請求金額と減額させた金額の差額の2割を基準としております。
事案の難易度、相手方の職業、収入、性格などを総合考慮し、ケースバイケースで報酬に関する合意をして、委任契約書を締結しております。

離婚にかかる弁護士費用と報酬について。

高齢になって判断能力が欠けてしまうようになったとき、弁護士に預貯金などの管理をしてもらう制度があります。

成年後見制度は、判断能力が欠けるよう(介護必要、意思疎通不可能など)になった場合に、後見人を選んで、代わりに、銀行預金などお金の管理や、身の周りの世話、老健施設との契約など、法律行為や身上監護を援助してもらうという制度です。
あらかじめ後見人を選んでおき、将来、判断力に欠けるようなときに備える制度として、任意後見制度があります。

高齢になって判断能力が欠けてしまうようになったとき、弁護士に預貯金などの管理をしてもらう制度があります。

将来、相続財産を巡って子ども同士がもめないように、財産の管理を目的に弁護士を後見人に選任したり、遠く離れている親の看護を頼みたい、という場合などに利用されます。
どちらの制度も、4親等内の親族であれば申立が可能です。申立書の作成、家庭裁判所との協議、申立に必要な医師の鑑定書の作成、後見人との連絡など、当弁護士事務所でフォローをさせていただいております。