医療事故・医療過誤(患者側)

医療事故・医療過誤事件について

医療事故・医療過誤事件は、通常の訴訟とは異なり、専門的知見と経験を必要とする事件です。医療事件は、一旦、訴訟になると数年間という長い年月とかなりの実費(事案によるが最初から終結するまでで50万円から100万円程度)がかかります。このため、最も大事なのは、最初の相談です。ここで、医療事故として立件を検討すべきか否かを適切に判断することが大事です。そのためには、医療記録や医学的知見の入手が必要となります。

医療記録については、証拠保全によって、入手する方法と、当事者がカルテ開示を求める方法があります。病院にカルテ改ざんの恐れがあるようであれば、証拠保全手続によって、カルテを検証する必要があります。そこまでの恐れがないようであれば、カルテ開示で医療記録を入手して頂きます。最近は、電子カルテになっている病院も多く、カルテ開示で医療記録を入手することが増えてきました。

その後、そのカルテを基にして、病院側の過失があるかどうかを検討し、私が持っている医学知見では足りない場合には、協力医にご意見を伺って方針を決めることになります。そして協力医の意見を元にして、過失ありと判断できたら、まず、民事調停を起こしております。いきなり訴訟を起こさないのは、相手方病院の弁明を聞き、過失ありとする当方の見解が本当に正しいか、患者の方で誤解をしていることがないかを確認する必要があるからです。民事調停では医師の専門委員がいるので、その方の意見も参考にして、訴訟を維持できないような案件はその段階で敗訴的な(過失を前提としない)和解解決を考えます。逆に過失が明らかな事案については、勝訴的な(過失を前提とする)和解解決が可能となります。

患者側、病院側の意見が対立し、調停委員の見解をお聞きしても解決がつかない場合には、訴訟に踏み切らざるを得ないと言うことになり、あとは、訴訟手続による解決となります。