コラム

2020.11.21

電車をめぐるあれこれ

札幌の市電は便利なのに・・・

事務所の窓からは大倉山シャンツェが見え、その下を市電が行き交い、時々「どですかでん」という音が聞こえてくる。なかなか癒される音である。大通のデパート街に行くには市電が便利だ。地下に潜る必要もなく、本数も結構結る。
でも、市電に乗るとがっかりすることもたくさんある。まず、路面電車が赤信号で止まることだ。また、違法駐車車両で道幅が狭くなっているため、時々警笛を鳴らすが、立ち往生することもある。
僕が視察で訪れたドイツやフランスの路面電車(LRT)は信号と連動しているため、赤信号で止まることがない。また、路面電車を優先させるというマナーも徹底している。

改札などなくてもいい。

改札があることも残念だ。改札が当たり前と思っている日本人は多いのではないだろうか。欧州には鉄道を含めて改札はない。一度改札がない便利さを体験すると、電車から降りるのに行列を作らねばならないというのはあまりにも不便に感じる。駅に着いたらドアが開き、いっせいに人が乗り降りする。それだけで、運転時間は倍以上短縮されるはずだ。そうなると絶対に地下鉄より路面電車が便利だ。まさに、横に動く都市のエスカレーターと一言えよう。

人を中心に街を考えよう。

フランス・モンペリエ/
コメディ広場を走るLRT

路面電車の通る中心街から自動車を閉め出すと、排気ガスも騒音もない、出かけるのが楽しい街になる。欧州では、このようなトランジットモールを作るようになって、中心街のお客さんが増えている。一番の人気は排気ガスと騒音のない通りでとるランチである。また、今まで聞こえなかった鳥の声も聞こえてくるだろう。
改札をやめるとか、路面電車を優先させるとかは、すぐにでもできそうなことだ。発想を変えればいい。「車がないとお客が来ない」、「改札がないとただ乗りする人が増える」、そういう発想を転換しないとだめな時がきているような気がする。それは、都市では自動車が中心ではなく、人が中心だという発想の転換でもある。