コラム

2020.11.21

アイドルをめぐるあれこれ

アイドル時代の到来

日本においてアイドルという言葉が定着したのは、1970年代だそうだ。1970年代といえば、私が中学校から大学前半を過ごした時期で、この10年間はまさに「アイドルの時代」といえる。
私がアイドルの波に巻き込まれていったのは、小学校高学年時代だった。当時は、天地真理、南沙織の時代、その後私と同じ学年の森昌子、山口百恵、桜田淳子(花の中三トリオ)時代、さらに角川映画の薬師丸ひろ子、原田知世の角川映画時代、そしてキャンディーズの時代へとつながっていく。

アイドルの実力

アイドル時代が始まった頃は、アイドルは歌が拙く、 歌唱力がないのに容貌と振り付けだけで売れているというのが常識になっていた。だから、レコード大賞でも「大衆賞」という枠でしか取り扱われなかった。その後次第にアイドルの実力も認められていったが、最初の頃は可哀想なくらいだった。
しかし、今振り返って改めて、天地真理や南沙織、麻丘めぐみのCDなどを聞いてみると、曲にしても歌詞にしても輝きを失っていないものがたくさんある。

アイドルは共通言語だった

当時、アイドルは、共通言語だった。おばあちゃんもお母さんも、お父さんも、子どもと一緒に、家族全員でテレビの前で、レコード大賞や紅白歌合戦で活躍するアイドルを応援するのが当たり前の光景だった。レコード大賞での松田聖子のぶりっ子ぶりが毎年クラスの話題になっていた。

消えたアイドル

そして、いつの間にか、次第に、紅白歌合戦からアイドルはいなくなってしまった。老若男女誰もが認知するアイドルなどもう二度と現れることはないように思われてならない。1970年代の持つ 溌剌 ( はつらつ ) とした、感覚、アイドルに夢中になれた感覚はもう戻ってこないような気がする。