コラム

2020.11.21

フィールドをめぐるあれこれ

スポーツでは「フィールド」が重要

国別テニス対抗戦であるデビスカップでは、ホームチームがサーフェイス(コート面の材質)を選ぶ権利があります。クレーコートが得意なスペインチームは球足が一番遅い赤土を敷いて闘牛場にコートを造り勝利しました。日本が1部昇格をかけて、アウェーのインドで戦ったとき、インドは芝生のコートを選択。インドのコートは凸凹がある芝だったため、あの錦織選手も手こずり、日本は昇格できませんでした。
サッカーでも中東のグラウンドのひどさに驚かされ、ゴルフでも宮里藍選手が勝てるのは沖縄と同じ芝の東南アジアのコースが多いはずです。どのフィールドで戦うか、勝敗の行方を大きく左右するものです。

どの「フィールド」で解決するかが鍵を握る

紛争解決もフィールドが肝心です。例えば、DV問題なら、DV夫の側にとって最も望ましい場所は、他人の目が届かない家庭内です。しかし、法廷に解決の場所が移されると、DV夫は法廷で大声を張り上げるほど、不利になっていくはずです。
交通事故の解決場所はケースバイケースです。早期に解決したい時と、じっくりと解決したい時とでは選ぶべき解決方法が違います。前者では交通事故紛争処理センターや民事調停、後者では訴訟となります。

訴訟でも「コート選び」が大切

北海道と沖縄に住む夫婦間の離婚訴訟をどこで行うかも、費用の問題が全く違ってくるため極めて重要です。
また、複数の裁判官の法廷がある場合、どの裁判官が担当するのかも大きな要素の一つです。残念ながら、当事者側から担当裁判官を選べませんが、いち早くその裁判官の考え方、癖、こだわりなどを見抜いて、的確に適応していくことが大切です。
アメリカでは、どの州の法廷で訴訟をするのが得策か、戦略として検討されているくらいです。

レフェリーの信頼を得ることも大切

サッカーでは、試合態度がクリーンな日本代表に有利な笛が吹かれる場面を見かけます。これは勝負事の鉄則でしょう。
弁護士の主戦場は法廷ですが、東京とは違って札幌は法廷の数に限りがあるので、弁護士の風評は裁判所内に広まります。法廷での態度、書面の内容、解決の精度などで高評価を得ておくのと、悪印象を持たれているのでは、やはり違いがあると思います。