コラム

2020.11.20

フランスのパンとビール

数年前、日弁連の環境委員会で独仏の視察に出かけて、パリ滞在中の最後の1日が自由時間となった。私は午前中ルーブル美術館を見て、午後、オルセー美術館に行く前に、昼食を取ることとした。あいにく日曜日でお店はどこも閉まっていたが、幸いオルセー美術館の近くに、どこにでもありそうなレストランが開いていた。出てきたのは、フランスパンにハムやチーズを挟んだだけのシンプルなサンドイッチと瓶ビールだった。しかし、ルーブル美術館を歩き回ったあとの心地よい疲れと、視察を終えた開放感に包まれ、暖かい春の日差しを浴びつつ食べたパンとビールのおいしさは、今でも忘れることができない。
昨年、パリの一つ星レストランで食事をする機会があり、それはそれでとても美味しかったが、今でも強烈に記憶に残っているのは、あのときのパンとビールの味の方である。どこかのクレジットカード会社のコマーシャルではないが、まさにプライスレスな味である。