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2025.12.07

バトルランナー・追記(感想の補充)

【映画『バトルランナー(ランニングマン)』のあらすじ】

舞台は、経済崩壊と社会不安が進んだ2017年のアメリカ。政府は強権的な体制を敷き、国民の不満や関心をそらすため、過激なデスゲーム番組「ランニングマン(バトルランナー)」を国営放送で流している。番組では、国家に逆らった者や罪人とされた参加者が、殺人ハンターに追われる姿を娯楽として中継される。

 主人公ベン・リチャーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、無実の罪を着せられ、この番組に出場させられる。彼は逃走を続ける中で、政府とメディアが事実をねじ曲げ、参加者を「悪」として仕立て上げている現実を知る。しかし、視聴者はその真実に触れることなく、編集された映像と物語を信じ、熱狂を続けている。

 主人公は、警察官だが違法な命令に逆らって刑務所へ。ニュースでは、画像が加工され市民大量虐殺者として報道されている。その後、視聴率を高めるために、ランニングマンの番組の逃げる役にされ、武器をもった処刑人(ダイナモ、サブゼロ、ファイアーボール)などと素手で戦う。

 処刑人のキャラクターはなかなか面白い、特にダイナモは、ワルキューレを流してオペラを歌いながら戦うのは秀逸です。完全に戦場の黙示録の活用です。当時、テレビの映画番組などで何度も放映されていました。ジェットコースターのようなものに乗せられて、トンネルの中を移動する演出も最高です。やっぱりトンネルを抜けるという工程はどの映画でも大事です。

 バトルランナー』が作られた時代(1980年代後半)、公開は1987年は、私が司法試験に合格する直前になります。米ソ冷戦は終盤で、核戦争の恐怖は現実的、レーガン政権下での強い保守化・愛国主義、国家権力とメディア、軍事・警察の距離の近さへの不信、「明るい未来」よりも、管理される社会・強権的国家への警戒が強かった時代です。そして、今との違いが、テレビが“王様”だった時代です。今から約40年前、40年後は、こういう時代もあるのかなあと思ってみていました。テレビが王様から陥落することは予想できませんでしたが、国家権力の肥大とフェイクニュースは予想が当たっていましたね。