ネット時代に増える「道外からの法律相談」
近年、ネット時代を反映してか、道外からの相談電話が増えているように感じます。相談内容を丁寧にうかがっているうちに、途中で遠方の方だと分かる、ということも珍しくありません。
かつては、物理的な距離が法律相談のハードルになっていました。しかし現在では、検索やオンライン相談の普及により、「まずは電話してみる」という行動の心理的障壁は大きく下がっています。その変化を、日々の実務の中で実感しています。
司法過疎地域に限らないという特徴
興味深いのは、これらの相談が、いわゆる司法過疎地域からに限らない点です。東京、千葉、名古屋といった大都市圏からの問い合わせも相当数あります。
しかも、札幌で起きた事件であるとか、北海道に住む家族の問題というわけでもなく、北海道に特段の縁もゆかりもない方からのご相談も少なくありません。インターネット検索の結果として、地理的な境界が以前ほど意識されなくなっていることの表れといえるでしょう。
医療事故分野で目立つADR・簡裁への関心
最近特に多いのは、医療事故に関する簡易裁判所の調停や、弁護士会の紛争解決センター(医療ADR)についてのお問い合わせです。
訴訟手続そのものは、細かな運用差はあるにせよ、基本的には全国で大きく変わるものではありません。しかし、簡易裁判所の調停運用や医療ADRの体制については、実は地域差が相当に大きいのが実情です。この点は、一般の方にはあまり知られていない部分かもしれません。
札幌における医師調停委員の特徴
例えば札幌では、医師が調停委員として関与する体制が比較的充実している点が特徴の一つです。医療案件において、医学的知見を有する委員が関与することは、事案理解の正確性や当事者双方の納得感の形成という意味で、一定の意義があります。
もっとも、これは全国一律ではありません。地域によっては医師調停委員の人数が限られていたり、医療ADRであっても医師が調停委員に入らない運用のところも少なくありません。
一方で、名古屋のように医師が調停委員として関与する体制を整えている地域もあり、同じ制度名であっても実際の運用には相当の幅があります。
まずは「地元の制度」を知ることから
このように、「ADR」や「調停」と一口にいっても、その実際の運用や専門家関与のあり方は地域ごとに大きく異なります。ネット検索だけでは見えにくい部分ですが、手続選択においては無視できない要素です。
全国どこからでも法律相談の入口にアクセスできる時代になりました。しかし、実際の紛争解決は、依然として各地域の制度的・人的基盤の上に成り立っています。
だからこそ、相談先を検討する際には、「どこに頼むか」と同時に、「どの地域の制度を使うのか」という視点も、今後ますます重要になっていくのではないかと感じています。

