お知らせ

2023.04.16

医療事故に調停手続を利用している理由

    1.  私は、基本的にどのような案件でも、訴訟の前に、簡易裁判所の調停を利用することが多いです。調停手続では、相手方病院側の見解の他、裁判官や医療専門調停委員からの率直な見解を聞くことができます。そうすることで、当該案件が、訴訟しても解決すべき事案か、訴訟を断念すべき案件か自ずと判断がついていきます。有責で合意できれば、訴訟をせずに解決ができますし、訴訟すべき案件と判断された場合は、すでに争点整理されているので、訴訟が開始されても進行がスムースになるというメリットもあります。また、訴訟提起が難しいとなったら、訴訟リスクを回避することも可能です。現在の裁判制度は、余りにも時間もかかり費用もかかります。私は民事調停は医療紛争の迅速な解決に最も適した手続の一つであると考えています。
     
    •  私は、人権大会実行委員会の一員として視察したドイツ医師会の調停制度、医療事故問題研究会有志で視察した韓国の医療調停裁判所で得た知見から、医療事故については、医師が関与した調停で解決することが、最も迅速かつ公平に解決できると思うに至ったのですが、日本では簡易裁判所の民事調停制度のみがその要件を満たしうる手続です。幸運なことに、札幌の民事調停では、伝統的にほぼ全科を網羅する多くの医師が専門委員として選任されています。調停委員の中には医学部の教授、名誉教授も含まれているのです。このような手続を低額で利用できるのですから、利用しない手はないわけです。
     
     札幌資料館の桜は咲くのが早いです。