コラム

2020.11.21

景観をめぐるあれこれ

日本三大がっかり?

日本三大がっかりというのをご存知だろうか。俗説だが、土佐高知の「はりまや橋」と、那覇の「守礼の門」、そしてビルの谷間に埋没している「札幌時計台」だそうである。
パリでエッフェル塔を見て感心したことは、塔の周囲に大きな建物がなく、公園が広がっていて、エッフェル塔の雄大さが演出されている点である。エッフェル塔の周囲に、高層マンションやオフィスビルが建っていたら、エッフェル塔の魅力は台無しになってしまう。
ヨーロッパには、オランダ、フランスを筆頭に、建物のデザインや大きさを規制して、町並みの景観を保全している国が多い。景観は、パブリックなものという意識が根付いているのだ。

眺望を一人占め

かつては旧道庁赤レンガが一番大きな建物で、札幌市内のどこからでも見渡せたそうだ。また、札幌は円山・手稲山・藻岩山など山々を間近に感じることができるところが魅力だった。
最近、超高層マンションの企画が多い。一昔前までは、容積率や建坪率の規制が厳しかったため、10階以上の建物は容易に建たなかった。最近は、中心部の再開発や景気を回復させる目的で、規制がほとんどなくなった。このため、札幌でも景観の良い場所にどんどん高層マンションが建っていく。住む人は景観を独り占めできるため、売れ行きは順調だと聞く。札幌を囲むようにしてそびえている山々の稜線や、大通公園や知事公館、旧道庁のお堀などを眺めて暮らせたらさぞ幸せな気分だろう。

眺望は誰のものか

凱旋門の上から見たエッフェル塔。
2004年10月 弁護士高橋智撮影

しかし、見方を変えれば、そのようなマンションが多く建てられているということは、せっかく眺めの良いところを訪れても、否が応でもマンションが目に飛び込んでくるということであり、景観が破壊されているということである。「景観」がパブリックなものだという意識を持てば、街の見方も違ってくるはずだ。
大通公園から噴水とテレビ塔をバックに写真を撮っても、その後ろに、どうアングルを変えても、超高層マンション群が必ず写り込んでしまうという時代が来るかもしれない。

2020.11.21

旅の楽しみ方あれこれ

さいはての地のカラオケ

昨年秋、北海道弁護士会連合会公害環境委員会の視察で、知床の自然保護地区を訪れた。2泊3日の調査で、宿泊したのは、国立公園内でもっとも知床半島の奥にある温泉のホテルだった。
ここは携帯電話の電波の届かない場所である。外にでて耳を澄ましても、何の音も聞こえない。このようなところに来ると、日頃都会の喧噪の中で暮らしているということに気づかされる。
それは夜の食事となり、初日の調査の成果などを話している時だった。隣の宴会場からカラオケが響いてきた。数十人の宴会だ。
さいはての知床の夜を、どうしてカラオケを唄って過ごさねばならないのかがまったく理解できなかった。どうして都会でできることを、わざわざ知床に来てまでするのだろうか?

薪ストーブの暖かさ

2日目の視察では、知床の特別保護区にある番屋を訪れた。薪ストーブを囲んで、この地のさまざまなことについて船頭さんのお話を聞くことができた。
薪ストーブは、自然の恵みを実感させてくれる。1本の薪が燃える時に出す火力は、思いがけず大きいし、長持ちするものだ。すきま風とともに、海のにおいと、波の音が番屋に流れこんでくる。外を見渡せば番屋以外には何の人工物もない。自然のほかになにもない。このような場所に身を置くだけで癒しを感じることができる。
視察の帰り、車のライトを消して外に出ると、上空には星がきれいにまたたいていた。

不便さを楽しむ旅のススメ

知床にて。2004年10月
弁護士高橋智撮影

不便なことが貴重な世の中ではないだろうか。携帯電話も繋がらない。カラオケもない。テレビもない。そういうところで温泉につかって、星を眺めながら静かに夫婦で話して過ごすというのはどうだろうか。
観光=団体ツアー=宴会・食べ放題=カラオケというお仕着せの観光に、日本人は本当に満足しているのであろうか。
旅好きの方も多いと思うが、一度団体旅行を離れて、一人で計画を立てて、不便な土地に行ってみてはどうだろう。便利なことは世の中にあふれている。不便さを味わうことで発見できる、旅の喜びもあるはずである。

2020.11.21

電車をめぐるあれこれ

札幌の市電は便利なのに・・・

事務所の窓からは大倉山シャンツェが見え、その下を市電が行き交い、時々「どですかでん」という音が聞こえてくる。なかなか癒される音である。大通のデパート街に行くには市電が便利だ。地下に潜る必要もなく、本数も結構結る。
でも、市電に乗るとがっかりすることもたくさんある。まず、路面電車が赤信号で止まることだ。また、違法駐車車両で道幅が狭くなっているため、時々警笛を鳴らすが、立ち往生することもある。
僕が視察で訪れたドイツやフランスの路面電車(LRT)は信号と連動しているため、赤信号で止まることがない。また、路面電車を優先させるというマナーも徹底している。

改札などなくてもいい。

改札があることも残念だ。改札が当たり前と思っている日本人は多いのではないだろうか。欧州には鉄道を含めて改札はない。一度改札がない便利さを体験すると、電車から降りるのに行列を作らねばならないというのはあまりにも不便に感じる。駅に着いたらドアが開き、いっせいに人が乗り降りする。それだけで、運転時間は倍以上短縮されるはずだ。そうなると絶対に地下鉄より路面電車が便利だ。まさに、横に動く都市のエスカレーターと一言えよう。

人を中心に街を考えよう。

フランス・モンペリエ/
コメディ広場を走るLRT

路面電車の通る中心街から自動車を閉め出すと、排気ガスも騒音もない、出かけるのが楽しい街になる。欧州では、このようなトランジットモールを作るようになって、中心街のお客さんが増えている。一番の人気は排気ガスと騒音のない通りでとるランチである。また、今まで聞こえなかった鳥の声も聞こえてくるだろう。
改札をやめるとか、路面電車を優先させるとかは、すぐにでもできそうなことだ。発想を変えればいい。「車がないとお客が来ない」、「改札がないとただ乗りする人が増える」、そういう発想を転換しないとだめな時がきているような気がする。それは、都市では自動車が中心ではなく、人が中心だという発想の転換でもある。

2020.11.21

煙草をめぐるあれこれ

煙草の匂いがイヤなんです。

事務所は全面禁煙にさせていただいている。事務所開業当初は原則禁煙で、クライアントの皆さんに灰皿を用意しておいたこともあるが、すぐに、絶対禁煙になった。
理由は、煙草を喫んだ後の残り香がいつまでも消えないことにあった。煙草が苦手という人は煙草の煙独特の香りが嫌だという人が多い。煙草の煙の粒子は、衣服や髪に付着すると一日取れない。それがストレスとなるのである。
人間にはそれぞれ自分の臭いというものを持っているそうであるが、自分と異質の臭いが絶えず自分から漂っている状態はかなりストレスとなる。 このような悩みはいつも煙草の臭いが消えない愛煙家の方にはわからないのかもしれない。喫煙自由の職場で、ストレスに耐えながら毎日仕事をしなければならない苦しみを持っている人が多いことを愛煙家の方にぜひ知っていただきたい。
稚内から旭川まで喫煙車両にしか空席がなく、死ぬような思いで数時間列車に揺られたこと、サイパンまで行く飛行機が当時喫煙自由で、食事が終わった後、乗客が一斉に煙草を吸い始め、客室内が真っ白になったことなど、煙草を巡る強烈な思い出も多い。

吸うなとは言いにくい。

弁護士会の会議では、喫煙しながら会議が行われることもある。愛煙家が先輩の方だと、煙草をやめて欲しいとはなかなか言い出せない。それを言い出すことによって、人間関係が悪化することを恐れるからだ
おいしい蕎麦屋や寿司屋でも同じだ。おいしい蕎麦を食べようとしてるのに、隣から煙草の煙や臭いが来たのではたまったものではない。でも、やめて欲しいとはなかなか言い出せない。家族で美味しいレストランに入っても、煙草の香りが漂ってきただけで、がっくりしてしまう。蕎麦屋や寿司屋など、香りや味が極めて大切なお店で喫煙が自由なのは理解できない。贔屓にしているお寿司屋のカウンター席は全面禁煙だ。

煙草を巡る悩みは尽きない。

医療訴訟を手がけているので、ガンの発生の機序を勉強したことがある。ガン細胞は、増殖を繰り返す、成長する細胞である。このような細胞が突然変異で生まれる場所は絶えず細胞が新陳代謝を繰り返す場所であり、煙草を吸っている人の場合は、肺や器官である。煙草を喫すれば肺ガンになる確率が増えることは当然なのである。また、入院中の乳児が死亡した事例の際勉強したが、乳児突然死症候群と呼ばれる乳児の突然死は、母親が喫煙する場合に発症する確率が高いといわれている。
煙草を喫むこと自体は個人の自由であり尊重されねばならないのは当然だ。しかし、問題は煙草の影響を受けたくない人の権利といかに調整するかである。煙草の煙は時間と場所を越えて影響を及ぼすだけにその調整が難しい。煙草を巡る悩みは尽きそうにもない。

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