実績紹介

TOP > 実績紹介 > (医療訴訟)解決例の紹介・いわゆる針刺し事故の事例で訴訟上の和解成立

2015/06/12(Fri)[ 医療訴訟 ]

(医療訴訟)解決例の紹介・いわゆる針刺し事故の事例で訴訟上の和解成立

■ 患者   30代女性(事故当時)

■ 事案の概要
 本件は、採血担当者が注射針による穿刺手技を行ったところ、被採血者の左外側前腕皮神経が損傷し、CRPS(複合性局所疼痛症候群)Ⅱ型を発症したとして、損害賠償を求めた案件である。

■事実経過
1.  平成21年3月、被採血者は、採血用の注射の針先を穿刺された瞬間、左腕に激しい電撃痛を覚えた。
 その後、被採血者は、痛みが治まらず、また感覚がなくなっている部位もあることから、整形外科で治療を受けていたが、同医師からペインクリニックへの紹介状を書いてもらい、麻酔科を受診したところ、CRPS(複合性局所疼痛症候群)Ⅱ型と診断された。

2.  被採血者は、星状神経節ブロック、左上腕神経叢ブロック、硬膜外カテーテルによる硬膜外注入、脊髄刺激リード埋込術による脊髄硬膜外刺激療法等の治療を受けるも、同年7月、難治性の左上肢痛と診断された。
 なお、平成22年4月のレントゲン検査では、軽度の左手指骨萎縮が認められており、平成23年1月14日には末梢神経障害性疼痛と診断された。

3.  平成24年提訴。訴額は当初は、385万円、その後、後遺障害分を増額して、2050万円に請求の趣旨を変更。

4.  平成26年に、請求額の数割程度の金額で訴訟上の和解成立。

■ 争点
 注射器の刺入方法に看護師に過失が認められるか。
 後遺障害として、CRPSが発症しているか否か。
 採血注射において、同採血に伴う事故の可能性について適切な説明をしているか。

■コメント
1.
 いわゆる針刺し事故については、発生部位(正中神経か否か)によって、過失の有無を判断すべきという識者もいるが、果たしてそれで良いのか疑問である。今回は、正中神経以外の神経を損傷した事案であった。

2.
 針刺事故は、献血などでも当然発生する可能性がある。
 日赤のウェブサイトによると「健康被害は、採血により体調不良・神経損傷・皮下出血等の症状により治療を必要とするもので、軽微なものも含めると総献血者数の約1%(5~6万件/年)に発生しており、そのうち医療機関を受診する方は、総献血者件数の約0.01%(700~800件/年)を占めています。」と報告されている。そして、献血時の採血により健康被害が生じることを前提として、献血者が医療機関に受診した場合は、医療費・医療手当を補償する献血者健康被害救済制度が適応される。

3.
 ところが、針刺事故によって健康被害が生じることについて、採血を受ける側にほとんど知識がない。したがって、採血の際には、このような市民の側の事情も勘案し、採血をする側がより懇切丁寧な説明を必要があると思われる。また、献血を含め、採血を受ける機会は多いが、採血には様々なリスクがあることを改めて被採血者側も認識しておく必要がある。

4.  
 針刺事故による神経損傷では、過失そのものや後遺障害の発生の有無立証が難しく、請求を断念することも多いのではないかと思われる。もっとこの類型の事故に注目がなされても良いと考える。特に、献血などの場合には、被採血者の尊いボランティア精神に報いるために、無過失救済制度である献血者健康被害救済制度がもっと充実したものにすべきである。

ページ上部へ戻る

無料相談 無料法律相談 お電話でのご相談 TEL:011-261-3170 法律の事でお悩みの方や、もしかして…と思ったら、まずはお気軽にご相談下さい。 WEBからのご相談はこちら 無料法律相談フォーム

【札幌の弁護士 高橋智法律事務所 取扱事件】

  • 医療事故・医療過誤(患者側)
  • 交通事故(人身・物損・加害者側・被害者側両方)
  • 離婚・相続問題
  • 欠陥住宅・建築瑕疵問題

一般民事事件全般

  • 任意整理
  • 過払い問題
  • 過払金請求
  • 遺産分割
  • 成年後見人申立
  • 失踪宣告
  • 各種事故に伴う慰謝料等損害賠償
  • 養育費請求
  • 夫婦関係調整
  • 不動産関係トラブル
  • 仮差押事件
  • 著作権・特許などの知的財産関係
  • 私選の刑事事件