南茅部町のイカ刺し

今年の夏、ひさびさに南茅部町の親戚の家で、イカ刺しをごちそうになりました。私が好きなのは朝漁れたてのイカの耳の部分。漁れたてのイカは、透明で美しいのですが、耳は茶色い色が混じっています。それがコリコリとした実に味わい深い旨さなのです。ちなみに刺身の細さも大事な要素で、太いイカ刺しは食感がよくありません。
最後に忘れてはならないのが山わさび。山わさびをつけて醤油を垂らしたイカ刺しを熱々のご飯の上にのせていただきます。もうそれだけで、ご飯が何杯でもいける極上の逸品です。
美術館、博物館のレストラン

欧州の美術館や博物館の中には、美味しいレストランがある。すばらしい展示物に感動したあとはその余韻に浸りながら美味しいレストランで食事をするのが良い。
少々値段がはるが、すばらしい思い出には変えられない。ルーブル美術館や、大英博物館のレストラン等もなかなか良い。特にロンドンのモダン・ミュージアムは、味もさることながら眺めが最高だ。テムズ川の往来とミレニアム橋を眺望でき、さらに、その橋の前方にはセントポール寺院も見ることができる。
善光寺のお焼きと信州味噌の焼きおにぎり

善光寺参りをして、表参道で食べた「お焼き」が忘れられない。寒い秋の日、表参道の出店をそぞろ歩きながら、お焼きと焼きおにぎりをほおばる。お焼きは肉まん風で、中味が「野沢菜」になっているふかしもの。焼きおにぎりは「信州味噌」が塗ってある。ともに信州を代表する名物。やはり名物はご当地で食べるのが一番美味しい。
炉端とザワークラウト
釧路といえばやはり炉端が最高だ。大きな北寄貝、牡蠣、ホッケなどが良い焼き加減で出てくるのを、演歌を聴きながらちょっと薄暗い店内でおでんを食べながら待つ時間がまた良い。駅前にある馴染みの店に行くようになったのは、駆け出しの頃だった。先輩弁護士と刑事事件で釧路刑務所に出張尋問にいった時に先輩弁護士に連れて行ってもらったのが最初である。その後、日弁連公害環境委員会で湿地調査に行った際、メンバー約10名で押し寄せ、お店にある魚を全部平らげてしまったという思い出がある。美味しいものを現地で食べるのはこの上のない幸せだ。
ドイツには日弁連公害環境委員会で何度も調査にでかけたこともあり、ドイツ料理は忘れない味だ。東京に行った時は、ちょっとリッチに六本木にあるドイツ料理の店に時々訪れる。テニスプレーヤーの伊達公子さんやメルセデスベンツの現地法人社長が来店した時の写真が飾ってある店内には、本場ドイツのビールが樽で取り寄せられている。ここではザワークラウト(Sauerkraut)というキャベツの漬物(乳酸菌発酵しているので酸っぱい)を添えた肉料理をドイツワインで楽しむ。こちらは美味しいものを現地で食べられない代償だが、もしかしたら、ドイツで食べるドイツ料理より美味しいかもしれない。
白ワインとカラス貝のスープの味が忘れられない

ウィンブルドンテニスを観た後、夜行列車でロンドン・パディントン駅からイギリス本島の西の外れにあるセントアイヴスまで向かった。セントアイヴスは、バーナード・リーチ、バーバラ・ヘップワース、ヴァージニア・ウルフなどの芸術家で有名な町だ。漁師の家だった家屋が徐々に芸術家のアトリエになっていった。屋根の上に黄色い苔が蒸しているので、町全体が黄色いイメージだ。
初日、美術館のレストランから黄色い屋根を眺めながら飲んだ1杯数ポンドの白ワインは最高の味だった。よほどいい顔をしていたのであろう。隣の席の家族連れの英国の男性が、写真を撮ってやろうかと言い出してきたほどである。
セントアイヴスのパドゥンホテルで食べたカラス貝のスープも忘れられない。食べても食べても白いスープの下から貝が出てくるのである。オーシャンビューを眺めながらの貝のスープは最高だった。セントアイヴス線はわずか10分程度のローカル線ながら、イギリス最高の景観と言われる路線だけのことはある。もう一度、機会があったら訪れてみたい。
欧州の春を味わう、ホワイトアスパラガス

日本でアスパラガスといえば、グリーンだが、ヨーロッパではホワイトである。春先にドイツに視察に行く時には、このアスパラガス(シュパーゲル)を食べるのがとても楽しみである。茹でたホワイトアスパラガスも美味しいが、さらに美味しいのがホワイトアスパラガスのスープである。
アスパラガスは何時ヨーロッパに行っても食べられる、というものではない。食べられる季節が限られているのである。
日本では、さまざまな品種改良や保存技術によって、一昔前には期間限定でしか食べることができなかった果物が食卓に並び、食べ物で季節を感じることがなくなってきている。「期間限定」という付加価値がドイツのアスパラガスをさらに美味しくしている。
イタリアに視察にでかけた時、デルタ・ポーという湿地にある灯台で食べたイタリア料理が忘れられない。湿地にたたずむきれいな灯台の下がレストランとなっていて、船でレストランまででかけるのだ。周囲の風景、灯台という風情のある場所で食べたイタリア料理には、「風景」「風情」という付加価値がついていたので、きっと記憶に残るくらい美味しかったのではないだろうか。
フランスのパンとビール

数年前、日弁連の環境委員会で独仏の視察に出かけて、パリ滞在中の最後の1日が自由時間となった。私は午前中ルーブル美術館を見て、午後、オルセー美術館に行く前に、昼食を取ることとした。あいにく日曜日でお店はどこも閉まっていたが、幸いオルセー美術館の近くに、どこにでもありそうなレストランが開いていた。出てきたのは、フランスパンにハムやチーズを挟んだだけのシンプルなサンドイッチと瓶ビールだった。しかし、ルーブル美術館を歩き回ったあとの心地よい疲れと、視察を終えた開放感に包まれ、暖かい春の日差しを浴びつつ食べたパンとビールのおいしさは、今でも忘れることができない。
昨年、パリの一つ星レストランで食事をする機会があり、それはそれでとても美味しかったが、今でも強烈に記憶に残っているのは、あのときのパンとビールの味の方である。どこかのクレジットカード会社のコマーシャルではないが、まさにプライスレスな味である。
サハリンの三平汁

数年前、サハリンの弁護士と北海道の弁護士の交流会があり、初めてユジノサハリンスク(旧豊原)を訪れた。サハリンの弁護士の方々に招待され、郊外の湿地に出かけ、野外で食事をした際、三平汁が振る舞われた。仕度をしてくれたのは、残留日本人の女性の方であった。
三平汁は小さい時、母の実家でよく食べたが、あの時と同じ味がして、本当に懐かしかった。サハリンには今でも多くの日本人や韓国人の方が残留して暮らしているとのことだった。その方の作った料理は、戦後、全く変わることがなかったと思わせる味だった。
新得のパスタ
昨年、新得を旅したときに丸太小屋のイタリアンレストランで出会ったパスタは美味しかった。新得といえばそばが有名だが、そのレストランは、経営する若いご夫妻の人柄があふれてくるようなレストランで、都会では味わえないようなゆったりとしてすがすがしい雰囲気を楽しめる。
新得に行った時は、「そば」ではなく、このレストランの「パスタ」をまた食べたいと思っている。
スペインのオレンジ、カフェ・オレ

スペインのバレンシア市郊外の湖沼地域を船で巡る機会があった。淵の上でパエリアを食べ、ワインを飲んだ後、皮をむいたオレンジを食へた。酸っぱさと甘さがほどよいバランスを保ち、格別の昧である。ホテルで飲み放題のオレンジジュースも美味しい。野球のピッチングマシーンのような要領で、オレンジか丸ごとジューサーに入って、ジュースが絞り出されるのである。果実の歯触りと、酸っぱさが忘れられない。
カフェで飲むカフェ・オレも美味しいの一言。どうして、スペインのカフェ・オレが美味しいのか判らないがどこで飲んでも美味しいのだ。
スペインの昧を思い出したくて、日本に戻って、オレンジをジューサーにかけたり、カフェ・オレをいろいろな喫茶店で飲んでみたが、あの昧にはほど遠い あの昧は旅に出ないと味わえないのだろう。

